過去ログ - 劇場版・とある星座の偽善使い(フォックスワード)
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23:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/03/29(金) 23:09:22.04 ID:4764DHEAO
〜19〜

麦野「――私がこの学園都市(まち)の暗部(やみ)で生きてたのはあんたも当然、知ってるでしょう?」

上条「……ああ」

麦野「三年前、私がまだ卵の殻を尻にくっつけた嘴も黄色いひよこだった頃、それに絡んで仕事を受けた」

麦野の細い腰の辺りで重なる手。夏の名残(におい)を運んで来る夜風に髪を靡かせながら麦野は語った。

麦野「その時入手した生存者リストには二つ穴があった。一つは機長が死んだ事、もう一つは記憶喪失で身元不明の女がいた事」

上条「それが、アリサだって言うのか?」

麦野「そう。搭乗者名簿にも乗っていなかった89人目の生存者。そいつが加わる事で死んだ機長の穴を埋めて88人になった」

あの時は顔写真しか見てなかったからわからなかったと続けて。

麦野「88の奇蹟だなんて謳っておいて実は犠牲者がいましたなんて引っ込みつかなかったんでしょ。所詮は自社のパイロット」

上条「どうとでももみ消せるってか」

麦野「それだけじゃないかも知れないけどね。何か裏があったのもかも知れない。この街の闇は深いから」

上条「……なあ、これはあくまで俺の勘の域は出ねえんだけど」

麦野「?」

上条「その事件の裏にいた連中が、今回のアリサの件にも絡んでるって線はありえねえか?って思ったんだ」

麦野「(オリオン号とあいつがオーディションで選ばれたエンデュミオンは同じオービット・ポータル社。有り得なくもない)」

上条「あんなメカまで引っ張り出して、俺と同じレベル0のアリサを守ろうとしたんだなら、そうするだけの理由があるはずだ」

そして切り出す。魔術サイドが聖人云々を論うのはまだわかる。だがそれだけで戦争の引き金になるか?
科学サイドも能力者を必要とはしても、聖人など必要とすまい。更に鳴護は自分と同じレベル0なのだ。

麦野「――歌」

上条「まさか……」

麦野「馬鹿馬鹿しい想像だけど、あの女の歌そのものに何か秘密があるんじゃないのかしら」

二人は思い返す。ファミレスで鳴護がハミングしながらやった、コーヒーフレッシュでのゲームでの結果。
異能の力を打ち消す上条を除く全員が、確率的に言って分の悪いビッグに賭け、一つ違いの88が出た事。
そして鳴護の着うたを聞いてシャットアウラが苦しみ出し、上条が九死に一生を得た事。それはまるで――

上条「……奇跡の歌姫か」

神からの贈り物のように。




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