過去ログ - 劇場版・とある星座の偽善使い(フォックスワード)
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26:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/03/29(金) 23:13:31.67 ID:4764DHEAO
〜22〜

ディダロス『待つんだ!一体何が起こっているんだ!副機長!』

副機長『左翼第2から第3エンジン炎上!第4エンジン制御不能!駄目です降下角度が維持出来ません!』

ディダロス『このままでは機体が分解するぞ!レバーを引け!引け!引け!機首を上げるんだ諦めるな!』

航空機関士『大気圏再突入シークエンスを1から3に繰り上げろ!クソッタレ!なんて日だちくしょう!』

ディダロス『融除剤ジェル、展開用意!副機長!?副機長?!』

副機長『もうおしまいだァァァァァァァァァァァァァァァァ!』

三年前。私は父ディダロス=セクウェンツィアを機長とし試験飛行に乗り出したオリオン号の機内に居た。
乗客乗員、合わせて88名。皆が祈っていた。あまりのGにシートベルトが食い込み肋骨が罅割れる痛み。
男も女もなく湧き上がる嗚咽混じりの金切り声。老人も子供もなくぶちまけられる排泄物と嘔吐物の臭い。
全身の冷や汗まで蒸発するような熱量に悲鳴を上げる機体の軋み。あの時神に祈らない者などいなかった。

ディダロス『再突入保安距離を確保しろ!最後まで諦めるな!』

父を除いて。

〜22.5〜

『ラー……ラー……ラー……ラー……』

どこからか歌声が聞こえる。これは幻想(ゆめ)?それとも記憶(げんじつ)?違う。あたしは知ってる。

『……ラー……ラー……ラー……ラー』

この歌声はあたしのものだ。他の誰でもなく他の何でもない、鳴護アリサ(あたしじしん)の歌声なんだ。

シャットアウラ『(お願い。どうか奇跡を、どうか奇蹟を、私の何を犠牲にしてもいい。だからお願い)』

その歌声に混じってあたしの中に流れ込んで来る思考。あたしの中に雪崩れ込んで来る感情。それはまるで

シャットアウラ『(皆を助けて!皆を救って!皆を守って!)』

悲しみ、恐れ、哀しみ、怖れ、絶望、畏れ、願い、懼れ、そのピースが合わさって描かれる祈りのパズル。

シャットアウラ『お父さん……』

その中で一人の女の子が、ブレスレットをひび割れるほど力強く握っている。まるでお守りのようにして。

乗客『神よ……』

その子だけじゃない。男の子も女の子も、おじいさんもおばあさんも、大人も子供も、赤ちゃんも、皆――

ただ一つのものを求めている。

思いを一つにして願っている。

奇跡という名の神様に祈って。




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