過去ログ - 劇場版・とある星座の偽善使い(フォックスワード)
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[saga]
2013/03/29(金) 23:29:31.08 ID:4764DHEAO
〜35〜
受付嬢「きゃっ!?」
その瞬間、第三学区にあるスポーツクラブの受付係はとてつもない衝撃波を階上から感じ取り駆け出した。
向かった先、それは数ヶ月前から麦野が借りっ放しにし、時折思い出したように泳ぎに来る貸しプールだ。
受付嬢「な、何なのよこれは!?」
天井やガラスに穴を空け、プールの水を干上がらせる程のバブルパルス現象を見て、受付嬢はへたり込む。
受付嬢「ば、爆発でも起きたの?」
それは地下搬入口に仕掛けられた爆弾が、麦野の『0次元の極点』によって転送され、もたらされた破壊。
『0次元の極点』とは木原数多の提唱した特殊な空間理論だ。
この世界においてn次元の物体を切断すると、断面はn−1次元になる。
3次元ならば2次元、2次元なら1次元。ならば1次元を切断すると0次元になるはず、という理論を基礎とする。
受付嬢「ど、どうしよう」
その空間の切断方法には原子崩しが持つ、『量子論を無視して電子を曖昧なまま操る』特性が相応しいとされる。
その規模たるや、極めれば銀河系の果てから距離も質量も関係なく物質を引き寄せる事も送り出す事も出来る。
受付嬢「警備員!」
麦野が上条と共に戦う為に手にしたもう一つの牙(ちから)だ。
〜35.5〜
麦野「当麻!」
上条「よ、よう」
時同じくして、自動人形を頭部から消滅させた上条が撃ち抜かれた左肩を押さえ、麦野が駆け寄って行く。
貫通こそしているものの、頸動脈や心臓部に近い銃創に、最悪の事態を回避した喜びさえ吹き飛んで行き。
上条「やったみたいだな……」
麦野「……シャツ脱がすわよ」
上条「――ありがとう」
麦野「喋んじゃねえ!」
上条の血染めのワイシャツを脱がせ、糸切り歯で帯状に引き裂き、動脈を傷つけていない事を改めて確認。
そして傷口を思い切り縛り付け、落ちていた鉄パイプを原子崩しで焼き切り、縛った部分に差し込み捻る。
上条「大丈夫だ。お前にヤられた時に比べりゃ大した事ねえよ」
麦野「っ」
それに麦野は応えず、すぐさま冥土帰しに連絡して救急車を要請する。自分が撃たれたように歯噛みして。
上条「……お前さ、さっき自分が非道い女だって言ってたろ?」
そんな麦野の背中に、上条は語り掛ける。
上条「――そんな事ねえよ。お前がいてくれなきゃ皆死んでたかも知れない。皆を助けたのは俺じゃない。お前なんだよ。沈利」
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