過去ログ - 劇場版・とある星座の偽善使い(フォックスワード)
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42:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/03/29(金) 23:32:34.87 ID:4764DHEAO
〜37〜

そして

上条「――沈利。さっき、俺が戦ったあの男の事なんだけどな」

ストレッチャーに乗せられ救急車に運ばれるまでの間、手を固く握って来る麦野に上条が言ったのである。

上条「あいつはこの間戦ったゴーレムと同じ、魔術で出来てた」

麦野「それって……」

上条「でもステイル達じゃねえ。俺の知る限りあいつらはああいう魔術を使わねえし、初めて見るあの三人組とも違う気がする」

地下搬入口で相手取った自動人形。あれは今まで上条が見てきたステイル達の術式とは大きく異なると。
確かに今回初めて見たマリーベートが土の魔術を操るのを見たが、それでも違うと思う根拠。それは――

麦野「……言われてみればあの爆弾は魔術じゃなくて科学ね。そんなもん使わなくたってあのエセ神父は」

上条「そう、あいつがその気になれば火の魔術を使えば済む話だ。爆弾よりよっぽど確実で破壊力がある」

その爆弾もまた学園都市製である事は立ち会った麦野が一番良く知っている。
素人や外部の人間には作れないし、手に入れる事も困難な学園都市のものだ。
そこで、上条をして魔術師ではないかという疑惑のあるレディリーが浮かぶ。
だが同時にレディリーが自社のイベントを台無しにする理由が見当たらない。

上条「行って来るよ」

麦野「……わかった」

上条「――アリサには内緒にしといてくれ。心配かけたくねえ」

救急隊が応急処置と搬送手続きを終え、いよいよ病院へ向かう時が迫っていた。それは少しの間の別れ。

上条「……そんな顔すんなよ」

麦野「誰がさせてんのよ馬鹿」

それを惜しむかのように握り締められていた手を、麦野の頬に添える。赤光を背負い影の落ちたその顔へ。

上条「明日には抜け出してでも戻る。それまでアリサを頼んだ」

麦野「……報酬は先払い」

その顔が上条に迫り、唇が重なり、救急隊員達が苦笑いしては。

上条「これで足りるか?」

麦野「利子にもならない」

上条「分割払いで頼むわ」

麦野「残りは身体で払え。お腹一杯だったのは昨日までの話よ」

そして走り出す救急車のサイレンと、ステージ上のサウンドが重なる中、麦野は唇をなぞりながら見送り。

麦野「……私も安い女になったものね。たかがこれっぽっちで」

その唇を笑みの形に変え、湧き上がる会場へと舞い戻って行く。




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