35:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/04/03(水) 22:13:09.65 ID:JjS9baYAO
「あらぁ、輝子ちゃん、今日はもう、帰るの?」
「あ、ま、まゆ……フヒヒ、空気の私の動向に気付くとは……あ、はい、えっと、キノコの世話……デス。ハイ」
「そう……。ううん、いいの。お疲れ様、気をつけて帰ってね」
「あ、はい、お疲れ様です……フフ」
その夜、星輝子は夢を見る。彼女が夢だと思っているそれは、現実と変わりない重みを持って、彼女の目の前に鎮座していた。
巨大な蝿のような頭。その頭部の大部分を占める、大きな二つの複眼は何かの卵を思わせ、粒のひとつひとつが黒くてらてらと輝き、その下、口吻を覆い隠すように伸びる触手とも髭ともつかない茂みの向こうに、金属の筒のようなものがちらりとのぞいている。
三メートルはあろうかという巨躯を、昆虫じみて不気味に細い外骨格の脚を折り曲げてしゃがみ、ギチギチと音を立て胴を曲げ、見上げる輝子に視線を合わせ、それは口元の機械を緑色に光らせた。
『謝。私の子を、助けた』
「え……あ、フ、フヒ、あの、キノコ……」
『是。我々はその生命に近しい構造をとる』
「お、お母様? フヒヒ……初めまして……ゴートゥヘール……」
『是。否。その言語に含まれる、生殖法はとらない』
「キノコ、キノコはトモダチ……フヒヒ、礼には及ばない、ぜ」
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