過去ログ - 勇者「僕は君を倒す！」魔王「来いよ、親友！」【安価】 -SS速報VIP

過去ログ - 勇者「僕は君を倒す！」魔王「来いよ、親友！」【安価】

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11: ◆a6GSuxAXWA[saga]
2013/04/03(水) 02:01:05.63 ID:O+0vLg/T0
酋長「……その推測は町の連中には話したのか？」

旅人「いいえ。そんなことしたらあなたたちや村の人たちに迷惑がかかるじゃないですか。そんなことを望んでいるわけではないので」

旅人「しかし、あの村では誘拐事件の話なんて全く聞きませんでした。農地を荒らす魔物がいたので、駆除しておきましたけど」

旅人「これは偶然でしょうか。村と集落には周囲に秘密の繋がりがあり、周辺の6町村で被害が出ている誘拐事件の被害者に村の人間はいない」

酋長「……我らはそんな事件知らん。あの村の者達も関係ない」

旅人「ええ。集落ぐるみで誘拐事件を起こしていた場合、あの村がそれに協力している可能性はかなり高くなってしまう。しかしあの人たちは、とてもそんなことをするようには見えない」

酋長「それが、我らが誘拐事件の関係者ではない、と判断した理由か？」

旅人「関係者ではない、なんて言った覚えはありませんよ。あくまで犯人やその協力者ではない、というだけです」

酋長「どういうことだ。わかるように言え」

旅人「まず犯人はあなた達と同じ亜人です。さらにこの集落ではない場所に拠点を作っており、その場所は人間に看破されています。この時点であなたたちが犯人であるという可能性は非常に低くなるわけです。こんな場所に集落を作っておきながら、未だ取引のある村以外には気付かれていないわけですからね」

旅人「しかしただの余所者ならば、何故あなた達は今まで誘拐事件のことを知らなかったのでしょう。それは村からも、そして人間を偵察する役目の者からもそんな話を聞かなかったからではありませんか？」

旅人「村の者はもしかしたら、その話自体は知っていたかもしれません。しかし自分たちに被害が出るような事態にならなければ、わざわざ僕やあなた達に話さなかったのも納得がいきます」

旅人「しかし偵察役の者は？　知らなかった、ということはないでしょう。ならば答えは一つです」

酋長「おいお前たち、すぐに偵察役を引きずってこい！　奴に洗いざらい吐かせてやる！」

旅人「待ってください！　それを犯人グループに気取られたら、被害者たちごと逃げられてしまいます」

酋長「ならばどうすればいい。我らに何かさせるために、こんな話をしたのではないのか？」

旅人「ええ。あなたたちに引き受けてもらいたい仕事があります。報酬は――」

酋長「報酬など要らぬ。同族が主導し、同朋が協力した事件だ。我らが片をつけるのが筋というものであろう」

旅人「そうですか。でしたら是非とも、僕の作戦に協力していただきたいのですが」

酋長「まあよかろう。貴様はなかなか頭が回るようだからな。貴様の作戦に乗ってやる」

旅人「ありがとうございます。僕があなたたちにしてほしいことは、たった一つです」

旅人「それは――」

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