14: ◆GorJQ6qPNeO8[saga]
2013/04/15(月) 22:53:38.15 ID:nnKZzyPTo
〜〜〜
「……さん?さ……さん!」
「……」
ぼんやりとグランドを見つめ、考えていた。
後輩が呼んでいるのも全く気づかずに、何かを探すように、視線を揺らす。
「咲さんってば!」
休憩終わりっすよー?と肩を叩かれやっと、正気に戻った。
「へ?あ、ごめん!
じゃあ――」
練習メニューを確認し、咲は再びグランドへと駆けていく。
「はぁ、自分が嫌になるな。……いやいや、ダメだ!しっかりしろ!
来週からまたリーグ戦はじまるし……リーグ戦、か……」
足元の土をならし、ふとベンチ、そして客席を見た。
「ダメ、やっぱり……絶不調なりぃ」
咲は大学卒業後、自動車会社のソフトボールチームに所属している。
大学時代はエースとして数々の大会でチームの優勝に貢献し、日本代表にも選ばれるのではないかという期待の新人だった。
だが、大学卒業後初のプロリーグでの成績はボロボロ。
雑誌や新聞には、学生時代の輝きが失われたと評価されていた。
球威が落ちたわけでも、制球が定まらないわけでもなかった事から、所詮は学生レベルだっと言われる事もあった。
「……フラッピ元気かな」
実家を出てから、共に戦った精霊の友人たちと会う事もすくなくなった。
それでも、大学時代は大空の樹の前でたまにはあっていたのだが、ここ二年は一度もあっていない。
空を見上げてみてもその瞳にはなにも映らなかった。
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