過去ログ - 美琴「何、やってんのよ、アンタ」垣根「…………ッ!!」3
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29: ◆nPOJIMlY7U[saga]
2013/04/02(火) 23:15:09.51 ID:Y3hy9anU0
気付けば美琴の瞳は濡れていた。
だが九九八二号の前でそんな姿は晒すのも躊躇われた。
逃げるように視線を脇へずらすと、視界の端にゴミのようなものが映った。
いつもなら路上に捨てられている空き缶のように、ゴミ情報として記憶に留められることはなかっただろう。
だがそれは何か違った。あれを見過ごしてはいけないと何かが告げている気がした。

そんな曖昧な予感をどうしてか無視出来なかった美琴は立ち上がり、ふらふらとそれに近寄っていく。
見れば見るほどみすぼらしいものだった。
捨てられて短くないのだろう、雨風に晒され続けたそれはすっかり汚れきっていた。
触れた指に泥や埃が付着する。普通なら触ろうとは考えもしない完全なゴミだった。

「―――これ」

しかし美琴はそれを離さない。離せない理由があった。
たしかにそれは他の人からすればゴミ以外の何物でもなかっただろう。
だが美琴にとっては違う。何故ならそのゴミは子供がつけるような缶バッジで、大人気マスコットキャラクターのゲコ太がデザインされたものだったからだ。
確信する。これはあの日美琴が九九八二号にあげたものだ。
これ自体は『実験』に関連するものではないせいか、回収されずに今この時まで残っていた。
すっかり汚れ、また車両に押し潰されたことによりひしゃげてもいるが、それでも残っていた。


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