過去ログ - 美琴「何、やってんのよ、アンタ」垣根「…………ッ!!」3
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550: ◆nPOJIMlY7U[saga]
2013/06/28(金) 00:00:49.77 ID:2uvppnvv0
「大丈夫よ、垣根」

聖母のような笑顔で、温かさで、美琴は言った。
まるで怯えた子犬のようになってしまっている垣根に、その右手をそっと伸ばした。
たったそれだけの動作に垣根は異常に反応し、ビクッと体を震わせた。
何も恐れるもののないはずの今の垣根が、学園都市最強などよりも遥かにこの少女に怯えていた。

「手を伸ばして。アンタがこの手を掴んでくれさえすれば、後は私が無理やりにでも引き摺りあげる」

「……断ると、言ったら?」

美琴は怯まない。毅然とした態度のまま、手を伸ばし続ける。

「私が、アンタの手を取るだけよ」

美琴が笑って言うと、垣根はその体を僅かに震わせた。

「どっちが先かなんて関係ない。手は、繋ぐことに意味があるんだから」

「……な、にを、言ってやがる?
俺は違う。テメェとは違げえんだ。何をどうしたって血みどろの解決方法しか選べねえ。
そんなクズがテメェや上条みてえなヒーローになんてなれるわけがねえだろうが!!
ヒーローと……対等に、同じ場所にいていいわけがねえだろうがぁ!!」

血塗れの顔で、垣根帝督は叫んだ。
ヒーローの対極にいる存在、それが垣根帝督だ。
美琴のように困っている人がいても助けたりはしない。
暴力より言葉を優先したりはしない。
敵対していても一発殴ってそれでチャラ、なんてことはしない。
だが目の前の少女は、一切の迷いなく言葉を返した。

「……ヒーローなんて必要ないでしょ」

一度伸ばした手を戻し、垣根の目を見て言う。

「私みたいなただの一学生が、そんなに大層な人間に見えるの?
善人? 悪人? 下らない。
そんな位置に立ってなきゃ、誰かを助けちゃいけないわけ?
あの一方通行でさえそれは分かってたわよ。
特別なポジションも理由もいらないの。ただ泣いてほしくない人間が泣いてれば、それだけで立ち上がっていいのよ。
理不尽に苦しめられてる人間がいれば、もうそれだけで盾になるように立ち塞がったって構わないの。
そしてアンタはもうそれをしているじゃない」

美琴が一歩前に進む。
慌てたように垣根が二歩、三歩と後退し、瓦礫に引っかかって転びそうになる。
とてもつい先ほどまで最強と死合っていた人間とは思えなかった。


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