過去ログ - フィアンマ「病室を、間違えていないか」ヴェント「ッ、」
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20: ◆2/3UkhVg4u1D[saga]
2013/04/06(土) 22:05:25.68 ID:01/4WOYt0

ハンカチを返そうにも。
彼の身元はまったくもって不明であり、検討もつかない。

「……、…」

困った。
貰うというのは、少し申し訳なさのようなものがある。
ましてや、新品に近い綺麗なハンカチでは。
同じものを買って返すべく、給金を叩いて同じものを購入した。
恐ろしい値段だったので、彼は存外金持ちなのかもしれない。
その割には修道服を纏っていたような、そんな覚えがあるのだけれど。
正確には修道服に似たデザインの、赤い服だったかもしれない。
どこかの制服だろうか。だとすれば学生なのだろうか。

ぐるぐると思考する彼女に、年輩のシスターが声をかけた。

「―――ちゃん、悪いんだけれど」
「はい?」

彼女はとても優しく穏やかで、とても良くしてくれる人だ。
はい、と手渡された紙袋の中には、数冊の本がある。
恐らく中身は交通費だろう、財布も一緒に入っていた。

「余ったらご飯を食べてきていいわ」
「…、…ありがとうございます」

行ってきます、と受け取り。
彼女は外に出て、図書館を目指し、歩き始めた。


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