過去ログ - フィアンマ「病室を、間違えていないか」ヴェント「ッ、」
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26: ◆2/3UkhVg4u1D[saga]
2013/04/06(土) 22:07:36.63 ID:01/4WOYt0

仕方がないので、向かい側の席に座る。
流石に肩を揺さぶってまで集中を切れさせる真似はしない。

「…………ん」

ぱたん。
本を閉じ、彼の瞳が私を捉える。
言葉に迷った様子で、しばらく黙っていた。
私もどう話しかけたものかはかりかね、黙る。

「…お前は、昨日の」

それだけ言って。
彼は、本を閉じて積む。
一気に読んで一気に片付けるタイプらしい。
せっかちなのか、面倒臭がりなのか。

「あの、」

買っておいた新品のハンカチを差し出す。
ブランド名も何もかも、同様のものだ。

「昨日はありがとうございました」

放っておいて欲しかったが、それはエゴだ。
自分の感情を押し付けてはいけない。
彼はハンカチを受け取り、私を見る。

「高かっただろう」

端的な言葉に。
頷く事も首を横に振る事もままならず。
困った顔をする私に、彼は小さく笑った。


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