過去ログ - フィアンマ「病室を、間違えていないか」ヴェント「ッ、」
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30: ◆2/3UkhVg4u1D[saga]
2013/04/06(土) 22:08:31.05 ID:01/4WOYt0

外に出ると、雨が降っていた。

「げっ……」

思わず、嫌な声が出た。
今日の午後に雨が降るなど、知らなかった。
天気予報を聴いていればわかっていたのだろうが、科学は嫌いだ。
舌打ちをしそうになって、隣に他人が居るので、堪える。
対して、傘を開いた彼は、私を見やった。

「…お前の家はここから遠いのか」
「…電車に乗るから、まあまあってところカナ?」

なら、駅まで送る。

そんな申し出に首を横に振るも、彼は歩き出してしまう。
仕方がないので焦って傘下へと入った。

『おねえちゃん、あいあいがさしよー』
『どこでそんなコト覚えてきたの…はぁ』

誰かと一緒に傘に入っていると、弟のことを思い出す。
いいや、私の生活のほとんどは弟に関連づいているものだ。
食事を作るのも、起きるのも、寝るのも、何もかも。
弟は、私の生きがいだった。これからも、成人するまでは一緒だと思っていた。
弟に反抗期が来たら、どうしよう。
そんなことを考えては、取っ組み合いとか必要なのかな、と思ったりして。
結局、想像していた何もかもは、私の存在によって不可能になった。

「……悩みがあるのなら、誰かに相談した方が良い」

隣から、そんなことを言われて。
ちらりとそちらを見やれば、憂鬱そうな青年の顔。

「…別に、悩んで、相談してもどうしようもないコトだから」

死者は蘇らない。
『神の子』が存在していない限り。


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