過去ログ - フィアンマ「病室を、間違えていないか」ヴェント「ッ、」
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4: ◆2/3UkhVg4u1D[saga]
2013/04/06(土) 20:03:54.98 ID:01/4WOYt0

ぐし、と手の甲で目元を擦る。
ごしごしとこすっても、更に熱くなるだけ。
苦しい。思わず、咳き込んだ。
何もかも放り出して泣いたって、きっと誰も来ない。
ここはバチカンの、つまりは普通の街中だが、この大雨だ、私以外に人気は無い。
泣いている内に気分が悪くなり、思わず座り込んだ。
あの日、目を覚まして見た弟の亡骸を思いだし、発狂しそうになる。

「っ、……」

せめて、教会までは行かなければ。
思うのに、さほど疲れていないクセに、脚が思ったように動いてくれない。
地面へみっともなく手をついて泣いていると、不意に雨が止んだ。

いいや、防がれた。

のろのろと、本当に怠かったのだが、無理矢理に顔を上げる。
気恥ずかしいという思いよりも、どこかに行って欲しいという身勝手な願いの方が強かった。

私の前に立っていたのは、細身の青年だった。
血飛沫らしきシミの見える、黒い傘を差している。

「……、私に、」

構わないで。
言おうとした矢先、清潔そうなハンカチが差し出された。
あまりにもそっと手渡されたので、思わず受け取ってしまう。


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