過去ログ - 奈緒「風邪をひいた日のこと」
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4:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/04/08(月) 22:02:20.06 ID:ct387MSPo
 げほげほ、と濁った咳をして、布団にくるまる。
 朝に病院へ行って、処方してもらった薬は一通り飲んだけど、それですぐ熱が下がるわけでもない。
 頭はずっとぼんやりしてて、ぐるぐるいろんなものがまわってる。
 地方から出てきた子や通勤の関係で便利だからって人は、事務所の女子寮に住んでるけど、
 アタシは地元が千葉で近いのもあって実家暮らしだ。
 両親は仕事で、家には今誰もいない。一応昼飯は置いといてくれたみたいだけど、食べられるかどうかは微妙かもしれない。

 閉めた窓越しに聞こえる、道路を走る車の音。
 遠くで響く、微かな電車の音。

 アタシは目をつむって、なるべく何も考えないようにした。外から届くふたつの音が、この時ばかりは子守歌みたいに思えた。
 だからきっと、寝るまではほとんど一瞬だったはずだ。
 夢を見た、覚えがあるから。

 妙に具体的な内容だった。
 昨日の撮影で来た白いドレス姿のアタシが、プロデューサーの手を取って一緒に踊っていた。
 曲の振り付けとは全然勝手が違ってて、お互い足踏んだりつまづきそうになったりしてたけど、
 両手を重ねて向かい合って、アイツの顔が間近にあって。
 そして最後に、その、き、キ……

「や、やっぱ無理っ!」
「……起きたのね」


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