6:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/04/08(月) 22:09:59.27 ID:ct387MSPo
「……台所、使わせてもらうわ」
「…………はい」
図らずもご飯をねだる雛鳥の気分。
ゼリーじゃ足りないと判断したらしく、立ち上がったのあさんは、袋を持って部屋を出ていった。
ほとんど物音がしなかったんだけど、あの人実は忍者か何かじゃないだろうか。あやめよりよっぽどそれっぽい。
というか。
そもそものあさんが料理してる姿とか想像つかない。
許可しちゃったのは早計だったかな、と思いつつ、待つこと十数分。
一度寝ていくらか楽になったので、汗でぐしょっとしたパジャマを着替えたところに、再びのあさんが現れた。
両手には家のどこにあったのか、お盆の上に一人用の土鍋。
湯気を立てる中身は、梅干し入りのお粥だ。
スーツ調の凛々しい感じな私服と日本人離れした容姿に、手元の純和食が、何だかとんでもなくミスマッチだった。
「……私の介添えは、必要?」
「じ、自分で食べられます」
「……そう。終わったら、片付けるから……その時は、呼びなさい」
こころなし残念そうに見えたのは錯覚だろうか。
お粥の味は塩加減が絶妙で、空っぽの胃にするする収まっていった。
ぶきっちょなアタシが作るより百倍おいしい。女子的には危機感を覚えるレベル。
黙々とスプーンを動かしてる間、のあさんは横で本を読んでいた。
片手で開き、もう片手でページをめくる姿がまた異様に様になってる。
カバーがついてて中身はわからなかったけど、まあ少なくともマンガやラノベじゃないだろう。
ごちそうさまでした、と両手を合わせ、のあさんに土鍋を引き渡す。
ついでにパジャマも回収して片付けに行く背中を見送り、アタシはいそいそとベッドに入り込んだ。
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