過去ログ - 終"私は貴方が嫌いだけれどね"
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16: ◆QkRJTXcpFI[saga]
2013/04/10(水) 00:48:39.36 ID:hv1LvJ230
 

戸を開けると広めの部屋の真ん中にベッドがある。
横にある丸椅子にちょこんと妹さんが座っていた。私に向けられた眼差しはとても厳しいものだけれど、仕方ない。
彼が事故にあったのは私のせいだ。

上半身を起こしてこちらを向く男くんの姿を見てほっと胸を撫で下ろす。けれど、彼のお母さんの口ぶりでは安心するのはまだ早いのだろう。
いつもなら感謝すべき時でも毒舌が喉までこみ上げてくるというのに、この時ばかりはそんなことはなかった。
きょとんとした彼に近づいて、深く頭を下げる。

女「男くん、本当にありがとう」

貴方が守ってくれていなかったら私は死んでしまっていたかもしれない。
護ってくれてありがとう。
目を覚ましてくれてありがとう。
あの瞬間で咄嗟に庇ってくれた彼に、私はずっと付き添える。
想いの力で護ってくれた彼を、今なら心から好きだと言える気がした。

けれど。

彼から返ってきた言葉は私の予想を大きく裏切る。

男「……どちらさまですか?」

怪訝な顔をこちらに向けて眉間に皺を寄せる彼は不快そうな面持ちですらあった。

男友「おい、男、冗談キツいって」

男「いや、冗談じゃなくてさ」

男「冗談キツいと言えばさ、友人。女さんは来てないの?」

女「……え?」

女友「ちょ、ちょっと男くん、女ちゃんならここにいるじゃんか!」

男「……その人、女友ちゃんの知り合い? 僕が女さんを見間違えるはずないじゃんか」

足元の床が大きな音を立てて崩れていく気がした。

男母「女ちゃん、ちょっといい?」



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