過去ログ - 一方「俺は、オマエの事が、」垣根「………」
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192: ◆yZmHv5zrf.[saga]
2013/04/29(月) 17:22:15.86 ID:lUhgWgT60

「わ、たし。あの子を、見殺しに、したんだ」

抜け殻のような彼女は、寮に戻ってきた。
眠る後輩を見つめたまま、ぼんやりと呟く。
思い出すのは、機関車の下敷きとなった妹のこと。
僅かに突き出た脚、濃厚な鉄の臭い、バッチを抱える少女。

「う…、」

ふらふらと、トイレへ。
便器に向かって、嘔吐した。
もう食べ物は出ず、胃液ばかりが吐き出されていく。
酸っぱく苦い不快感が、口内を満たした。
憎悪と恐怖が、胸の中で渦巻いていく。

「…る、さない」

あの男は、第一位だと名乗っていた。
第三位である自分に、勝ち目はない。
だが、たとえ殺されたとしても、あの実験だけは食い止めなければ。
そして願わくば、あの男と刺し違えたい。

「許、さない……」

度重なる嘔吐によるストレスで、目に涙が滲んできた。
誰かに縋って泣き喚きたい気分を堪えて、涙声を飲み込む。

どうして、何の非もないあの子達があんな目に遭わなければならないのか。

思って、また、吐いた。


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