過去ログ - 一方「俺は、オマエの事が、」垣根「………」
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49: ◆yZmHv5zrf.[saga]
2013/04/14(日) 21:04:22.31 ID:dHq83Bln0

救急車が来て。
同乗して、その手を強く握った。
救急隊員は俺達を兄弟か何かだと思ったらしく、何も言わないままに。
淡々とバイタルを計測・記録しては、何の異常もないことに首を傾げていた。
どんどんと体温は下がり、まるで死体のように垣根の様子は変化していく。

「アクセラ、レータ」
「なン、だよ」
「頭、痛ぇ。……後、寒い…」

手近な毛布をたぐり寄せる。
垣根の身体を包んでやっても、その体温は一向に上昇しない。
このまま死んでしまうのではないかと思うと、涙が出そうになった。
どうしてこんなことになってしまったのか。
体調不良の原因は不明だ。だが、もっと早く医者に相談すべきだったということはわかる。

怖いから、見ないフリをした。
垣根にこれ以上薬品を摂取させたくなかった。
平和な毎日に水を差したくなかった。

すべてが、俺の甘えと、惰性に過ぎなかった。
本当に垣根の身体を想うなら、医者へ診せてやるべきだった。

「死に、たくねえ。…まだ、お前と、並んで歩いてない、のに」

げほ、と噎せた咳に、赤黒い痰が混じる。
強く手を握り、胸元を摩った。

「死なせねェよ、俺が」



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