過去ログ - 一方「俺は、オマエの事が、」垣根「………」
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◆yZmHv5zrf.
[saga]
2013/04/13(土) 22:59:17.51 ID:XPJ/0n/m0
あの日、逃げ出した少年が、研究所へやって来た。
色んなところをたらい回しにされたのか、見目は変わっていたけれど。
それでも、泣きそうに歪んだ顔は、忘れられなかった。
「……オマエのなまえは?」
「わたし、は。…わたしは、かきねていとく、です」
何もかも実験や研究で奪われていく中で。
性別と名前だけは、頑なに固持し続けてきた。
少年は俺を見て、名前を覚えたらしく、頷く。
そして、おっかなびっくりといった様子で、手を差し出してきた。
「……、…」
「…えっと…」
どうすれば良いのか、迷う。
俺は考えた結果、手をとってみて。
そして、手の甲に口付けてみた。
童話の中で、王子様がお姫様にそうしていたから。
「ばッ、なにすンだよ、」
「…え? ちがうのか?」
「あくしゅだろ、ふつう」
白い顔を赤くして、むすくれたように彼は言う。
思わず謝ると、別に謝らなくていい、と制された。
「…あなたの、なまえは?」
問いかけると、彼は押し黙り。
「……ないの?」
「…のうりょくめいで、いいか?」
「うん」
「…あくせられーた」
「あくせられーた? わかった」
今度からそう呼ぶね。
そう言うと、彼は嬉しそうに笑った。
彼は、俺と違って、自らという存在を嫌っていた。
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