過去ログ - 一方「俺は、オマエの事が、」垣根「………」
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80: ◆yZmHv5zrf.[saga]
2013/04/15(月) 21:10:49.07 ID:YJWZRcJV0

そして、一方通行は再び病室に戻って来た。
人工呼吸器を取り付けられ、垣根は眠り続けている。
静かに眠っているその様は、童話に出てくる姫にすら見えて。
そういえば昔からお前は童話が好きだったな、と一方通行は呟く。

「……」

手を伸ばす。
数年前に切って染めた彼の髪を、優しく撫でた。
高いスキ鋏を買って、長めに切ったのが懐かしい。

「………帝督」

いつもなら、こそばゆいだの、名前で呼ぶとは何だだの、照れくさそうに起きてくれて。
俺の手を優しく払って、本当にくすぐったそうな顔で笑うのだ。
そんな笑顔と下らないやりとりが嬉しくて、楽しくて、何度もやって。

「オマエを起こす王子様になる為の方法を聞いてきたンだ」

髪に触れるのをやめ、手を握る。
彼の右手を、両手できゅっと握った。
深く腰掛けたパイプ椅子が、ギシリと軋む。

「無敵になりませンか、ってお誘いだった」

呟く。
どこか八つ当たり気味に。

「クローンとはいえ人形だから気にすンなって言われたンだけどな。
 どう考えても、オマエに似てて、普通の人間なンだよ。
 殺せる訳ねェンだよ、そンなモン。でも、帝督が起きる可能性が出来るって言うンだよ」

震える手で、強く、手を握る。
齢にして14の彼に、人の生き死にを決める勇気など無かった。

「どォすれば、イインだよ……」



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