過去ログ - 小梅「白坂小梅のラジオ百物語」
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168:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/05/10(金) 20:24:19.76 ID:uAvvpyUMo
 人の少ない寂しい葬儀で、目が溶けそうなほど泣き続ける父親の姿に、ひいおばあさんは同情しきりだったようです。

 ひいおばあさんも夫を亡くし一人娘――私のおばあさん――を女手一つで育ててきたこともあって、なおさらだったかもしれません。

 とはいえ、ひいおばあさんに出来たのは葬儀やその後の細々としたことを手伝うことぐらいでしたけれど。
 それでもその父親は心慰められたようでした。

 というのも、この一家は、その村の中ではつまはじきにされていたからです。

 その理由を、ひいおばあさんはよく知りませんでした。
 よそ者の産婆として踏み込んではいけない部分というのもありますから……。

 ただ、昔からの確執が尾を引いているのではないかと考えていました。

 実を言うと、この村は、江戸のはじめの頃までは二つの村だったのです。
 それが、江戸の中頃にかけて、川の上流にあった村が田畑を広げ、結局、川の下流にあった村を呑み込んでしまったのでした。

 その一家は元々下流側の村の人間にあたります。
 それが村内の扱いに影響しているのだろうと、ひいおばあさんは考えていました。


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