過去ログ - 小梅「白坂小梅のラジオ百物語」
1- 20
5:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/04/14(日) 22:28:29.78 ID:KIIoIuUro
 でも、なんにしても海岸を綺麗にするのはいいことです。
 だから、私も手伝おうと思って、その人たちの集団から少し離れて、ゴミを拾い始めたんです。

 といっても、私はそんなに準備をしているわけではないので、小さいのを拾っては持っていたコンビニの袋に入れて、くらいでしたけどね。

 海に沈んでいく夕日が、あたりを橙色に染めあげていて。
 海に煌めく明るい橙と空からの暗い赤で、あたりがもうなんだかぼんやりしてしまうんですよね、そんな時って。

 近くでゴミ拾いをしている人たちの姿も、あまりよくは見えなくて。
 なんだか夕日を反射する光の柱がゆらゆら揺れているような感じでした。

 自分や、その人たちの影も長く伸びて、まるで、怪獣みたいにおっきな影になっていて。

 本当に、長く長く伸びるんですよ。
 ずーっと先まで……。

 そんな様子を楽しみながら、夢中になって拾っていたら、ふと声がかかりました。

『お嬢さん』

 はい、と顔をあげました。
 その途端、びっくりして声を無くしちゃいました。

 なにしろ、あたりはとっぷりとくれ、声をかけてくれた人の顔も見えないくらいに真っ暗で、空には星がきらきら輝いているんですから。

 そんなはずはありません。
 だって、顔をあげるまでは、夕日を頼りにゴミを拾っていたんですよ?

 多少は暗くなっていたとしても、手元も見えないくらいになれば、すぐわかるはずなんです。

『手伝うてくれてありがとな。やけど、そろそろ自分は上がっとき』
『ここらが潮時よ』


<<前のレス[*]次のレス[#]>>
181Res/110.71 KB
↑[8] 前[4] 次[6] 板[3] 1-[1] l20
このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています。
もう書き込みできません。




VIPサービス増築中!
携帯うpろだ|隙間うpろだ
Powered By VIPservice