過去ログ - のあ「……たいせつなものは、目に見えない」
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2:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/04/18(木) 22:33:01.31 ID:Sxr2n2vlo
 ブラインドを下ろした窓に、西日が射し込んでいた。
 隙間から入る橙色の光が、今の時間を告げている。

 事務所の休憩室。
 テーブルに寄せた椅子のひとつに座って、彼女は本を開いていた。
 一時間ほど前に今日のスケジュールを消化し終わり、幾分早く彼女は暇を持て余した。
 そのまま帰路に就いてもよかったのだが、折り悪くプロデューサーはおらず、
 ちひろも緊急で出払うことになり、流れで留守番めいた立場に落ち着いている。
 
 別に事務所の鍵が掛からないわけでもない。
 ただ、他の誰かが戻ってきた時や来客があった時、とりあえずでも対応できる人間がいないと困る、という話だ。
 ちひろはすぐ帰ってくるとのことだったが、具体的にいつかはわからない。
 不在を任せられる状況にいたのは、彼女だけだった。

「………………」

 憂うような横顔のまま、ゆっくりとした速度でページをめくる。
 微かな衣擦れと紙が立てる音。
 静寂に程近い空気の中、遠くの軋みを彼女は聞き取った。
 本を閉じ、テーブルに置いて腰を浮かす。
 休憩室の扉を挟み、玄関へ向かうと、
 そこでおそるおそる室内を覗き込もうとしている小柄な人影を見つけた。


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