過去ログ - のあ「……たいせつなものは、目に見えない」
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6:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/04/18(木) 22:39:36.01 ID:Sxr2n2vlo
「……じゃ、じゃあ、その……お借り、します」
「ええ。読み終わったら、また言いなさい」

 閉じた本にカバーを付け直し、それを小梅に手渡す。
 いくつかのページには開き癖がついていて、背表紙は微妙に擦り切れた箇所もあった。
 きっと何度も読み返したのだろう。
 小梅は胸に本を抱き、たどたどしく感謝の言葉を告げた。
 そう、と短く頷いたのあが、減っていた小梅の茶を注ぎ足す。
 部屋の寒さで冷えたのか、立ち昇る湯気は控えめだった。
 しばらく続く無言の時間。
 顔を合わせて早々の気まずい雰囲気こそなくなったものの、やはり共通の話題は見つけ難い。

「……あ、あの……のあさん」
「……何?」

 結局先に折れたのは小梅の方だった。
 預かった本を目前に掲げ、表紙を見つめる。

「どうして……この本、読もうって……思ったんです、か?」
「……本を読むこと自体に、初めは意味などなかったわ。それを選んだのは……星の名が、私の目に留まったから」
「星……好き?」
「美しく、輝くもの……けれど、届かないもの……。だからこそ、求めたくなる。……夢と同じね」


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