過去ログ - 錆白兵「ここはどこでござるか……」神裂火織「必要悪の教会女子寮ですが……」
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36: ◆4ipphlbOc2[sagesaga]
2013/05/08(水) 18:37:38.74 ID:ILzqQSnE0
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――――日本と言う国は、1467年の応仁の乱もしくは1493年の明応の政変から戦国時代が始まったが、それ以降から日本の軍事力は世界的にも高かった節がある。1200年代の世界的大国であった元の侵略を(対馬・壱岐・肥前沿岸部は除く)防ぎ、追い返したのが一番の例だ(蒙古襲来)。


当時の記録によれば、この時から日本刀の切れ味は異常なものだったらしい。

さて、日本の剣術には様々な流派があるが、それと同じように太刀筋も違う。今回は大まかに説明するが、人によって認識が違うのを理解してほしい。万人の言葉は万通りあるのだ。

太刀筋とは言わずともわかるが、刀で物体を斬る時の筋の事である。それが美しいとは、真っ直ぐに且つ歪んでいない、という事だ。要は一直線に速く斬る事。

刀を日本刀、剣を西洋の剣と表すとしよう(もともと漢字の意味としては、刀は片刃、剣は両刃の意味である)。この二つを比べる。


RPGや欧州各地にある神話に登場する剣を思い出してもらえばわかるが、剣は重くて頑丈に造られている。

一般的には、これらは斬るのではく打撃がメイン。強固な甲冑や盾が進歩したので、斬るよりも転ばせて止めを刺すのが剣の使い道だった。また銃が後に発達したので、剣はさらに衰退の一途を辿ったのでは、と考える。

西洋剣術は剣の打ち合いが多いから、切れ味よりも頑丈さに重点が傾いたという話も聞く。


一方日本刀は、西洋とは違って頑丈な甲冑は発展しなかったが故に切れ味が発展していった。まぁ、戦国時代中期の戦の主役は刀ではなく弓で、その次に槍、その次にようやく刀だったのだが、それでも切れ味はすこぶる良かったは言うまでもない。因みに刀鍛冶の技術は、長巻、槍、薙刀などにも使われたから、広い意味ではこれらも刀の範囲内である。

普通の日本刀は斬るのが主要用途。斬り合いには刀同士の叩き合いはせず、避け合い、もしくは勝負は一瞬、一合が主だったそうだ。

現代では二百年以上前の、戦国時代の日本刀を完璧に再現する事は、合金技術は今は廃れ、謎のままになっている為、不可能だそうだ。


「あ、ああ〜〜〜〜ッ、また失敗しちまった………」


片手に鎚を持ち、もう片方の手で汗を拭って、木原数多は超高熱に熱せられた鉄屑を見下ろした。

両手にはマイクロマニピュレータを嵌めており、人工筋肉とモーターで1μm単位での精密作業を可能にさせている。

さて、今彼が見下ろしている鉄屑とは、二枚の薄い鉄板の事であるが……否、元は一枚だった鋼板だ。薄く薄く伸ばして伸ばして、極限まで伸ばそうとしていたのだが、鋼の強度が限界に達してしまい、この通り真っ二つになってしまったのだった。


「あーくそ。これで何回目だ……」


木原がいる場所は、学園都市にある、自分の研究室【ラボ】。

学園都市の闇を牛耳る木原の家の者は、それぞれ得意とする研究分野や特性を持つ。彼の特性は『金槌レベルの破壊力を超精密に制御する事』。

物体への細かい作業を指せるなら天下一である筈の彼が刀鍛冶を失敗するのは、極限まで薄くしきった鋼を、さらに薄くするのが目的だからだだが……。見ての通り失敗の連続である。



「………何をやってるの、数多おじさん」


そこに一人の少女が研究室に現れた。


「あ? ああ、円周か。なんでんなとこにいるんだ?」


木原円周。彼女もまた木原一族の一人である。黒髪のお団子頭を左右に揃えた、中学生ぐらいの小柄な彼女は、紫のフリル付きのスカートに赤と白の二―ソックスを履き、上はTシャツ、そして首には携帯電話やワンセグテレビ、スマートフォンなどを下げた姿で現れた。

大体の木原の人間は皆、言っては悪いが凶悪そうな顔つきをしている。だが円周だけ、他の木原とは別の半生を送ってきた過去を持つ為、顔つきは可愛らしいものだった。性質が違うと言えばいいのだろうか。

そんな円周がなぜ木原数多の研究室に来ているのだろうか。無論、住んでいる家もここではないのだが……。

円周は木原おじさんにトコトコと近寄って、


「遊びに来たの。今日は、ちょっと暇で」

「あーそーかよ。生憎、こちとら忙しい身でな。遊んでやるヒマはねえんだ。悪いな」

「ううん、いいよ。おじさんを見ているだけでもいいよ。だって、それだけで十分勉強になるもの。見るだけでも立派な勉強法だもん。“そうだよね。『木原』ならそうだよね”」

「円周は努力家の頑張り屋さんなのは結構だが、そうおじさんおじさん連呼するのはやめてくれねえか?」

「………? おじさんはおじさんでしょ?」

「……………」

「……………?」


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