過去ログ - 侍｢一刀両断で罷り通る｣ -SS速報VIP

過去ログ - 侍｢一刀両断で罷り通る｣

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1: ◆aHGz2Nt3qM[saga]
2013/04/21(日) 00:54:56.13 ID:ZU5YrE6AO
　

　寛永元年(1624)

　―― 江戸柳生屋敷

｢お待ちしておりました｣

｢ほう、但馬守殿の嫡子自らが出迎えとは豪勢な事だな｣

｢小野先生のお出迎えとあらば是非にと某が父に懇願した次第。僭越ながら柳生但馬守宗矩が嫡子十兵衛三厳が案内つかまつります｣

｢殊勝な事である｣

｢それではこちらに｣

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2: ◆aHGz2Nt3qM[saga]
2013/04/21(日) 01:08:21.66 ID:ZU5YrE6AO
　

　寛永元年の春、小野次郎右衛門忠明先生は、同じく将軍家剣術指南役を仰せつかった柳生但馬守宗矩殿のお屋敷に招待されました。

3: ◆aHGz2Nt3qM[saga]
2013/04/21(日) 01:22:19.70 ID:ZU5YrE6AO
宗矩｢お待ちしておりましたぞ｣

忠明｢柳生一門勢揃いでわしを打ち負かしたくて仕方なかったのであろう｣

宗矩｢何をおっしゃる。某を含め柳生一門は純粋に次郎右衛門殿の剣技の妙をしかとこの眼に焼き付けたいと｣

4: ◆aHGz2Nt3qM[saga]
2013/04/21(日) 01:39:36.40 ID:ZU5YrE6AO
宗矩｢いいえ、剣禅一如を掲げる柳生新陰流当主として兵庫助の無礼お詫びいたす｣

忠明｢わしは詫びをもらいに来たのではない。さっさと用を済ませよう｣

宗矩｢では此方に、次郎右衛門殿の控室を設えております故｣

5: ◆aHGz2Nt3qM[saga]
2013/04/21(日) 01:51:06.39 ID:ZU5YrE6AO
　

　小野先生にこの時の事を尋ねたおりに"十兵衛三厳、但馬の伜なのが悔やまれる"とだけ仰りました。

6: ◆aHGz2Nt3qM[saga]
2013/04/21(日) 02:05:24.70 ID:ZU5YrE6AO
十兵衛｢小野先生には打ち込む隙がございません｣

忠明｢むべなるかな｣

宗矩｢十兵衛下がれ｣

7: ◆aHGz2Nt3qM[saga]
2013/04/21(日) 02:12:33.53 ID:ZU5YrE6AO
　

　もちろん、小野先生は傷一つもつけずにお帰りになられました。

8:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]
2013/04/21(日) 02:23:17.54 ID:JO0VZHmQo
面白い

9: ◆aHGz2Nt3qM[saga]
2013/04/21(日) 02:23:32.74 ID:ZU5YrE6AO
｢柳生のお侍は弱いだな｣

｢嘘だ!柳生がそんなに弱いはずがないんだ｣

｢じゃあ、この爺さんが嘘をついてるって言うのかよ｣

10:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]
2013/04/21(日) 07:07:31.35 ID:x27v2/rAO
乙。珍しい感じのSSだな。超期待。

十兵衛と兵庫は従兄弟な。お互いを何と呼び合ったかは微妙。

11: ◆aHGz2Nt3qM[sage]
2013/04/21(日) 08:07:00.93 ID:ZU5YrE6AO
>>10
兵庫は石舟斎の孫なんですよね

年齢的にも上だし兵庫は一応尾張柳生の当主なので叔父上と呼称させました。

12: ◆aHGz2Nt3qM[saga]
2013/04/21(日) 13:07:44.62 ID:ZU5YrE6AO
｢爺、また来たよ｣

爺｢ほう、これはまた沢山お連れになられましたな｣

｢この爺さんがお江戸の柳生が弱いって言ったんだよな｣

13: ◆aHGz2Nt3qM[saga]
2013/04/21(日) 13:41:09.96 ID:ZU5YrE6AO
　一章　伊東一刀斎

　天正十九年(1591)この時、安房国の里見家より一人の若侍がご出奔なされました。

14: ◆aHGz2Nt3qM[saga]
2013/04/21(日) 14:00:37.15 ID:ZU5YrE6AO
忠明｢暗くなって来たな……仕方あるまい。今宵の寝床の宛をつけねば｣

　　ｵｲｿｯﾁﾆｲｯﾀｿﾞﾆｶﾞｽﾅ

15: ◆aHGz2Nt3qM[saga]
2013/04/21(日) 14:22:54.48 ID:ZU5YrE6AO
　

　安房国より出て十里ほど西のとある山中にて、不穏な殺気を撒き散らす賊党を見た小野先生は樵小屋にて身を隠し、一夜の宿として過ごす事になりもうした。

16: ◆aHGz2Nt3qM[saga]
2013/04/21(日) 15:28:39.25 ID:ZU5YrE6AO
忠明｢む、先客が居たか。何奴だ｣

？｢…………｣ｶﾞｸｶﾞｸ

忠明｢答えろ｣

17: ◆aHGz2Nt3qM[saga]
2013/04/21(日) 15:44:47.54 ID:ZU5YrE6AO
忠明｢なぜ盗んだ。生きるためか？｣

童｢…………｣ﾌﾙﾌﾙ

忠明｢何やら訳があるようだな。もしや、野盗の類いから盗ったか｣

18: ◆aHGz2Nt3qM[saga]
2013/04/22(月) 10:50:03.19 ID:s641rUcAO
　

　小野先生は、さぞかしお困りになられた事でございましょう。

19: ◆aHGz2Nt3qM[saga]
2013/04/22(月) 11:07:58.40 ID:s641rUcAO
　

　朝靄に包まれた山中は、厳かな気に包まれておりました。

20: ◆aHGz2Nt3qM[saga]
2013/04/22(月) 11:21:01.92 ID:s641rUcAO
｢やっと捕まえたぞ。散々逃げ回りおって｣

童｢…………｣ｶﾞｸｶﾞｸ

｢よくも斬りつけてくれたな。父と母の仇を討ったつもりだったか？｣

21: ◆aHGz2Nt3qM[saga]
2013/04/22(月) 11:26:10.49 ID:s641rUcAO
忠明｢童一人捕まえるのに大人がこれだけでご苦労な事だな｣

｢なんだ？お前は｣

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