過去ログ - モバP「なにげなくなやむしゃちょうのいちにち」
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◆C7ms5oNKB6
[saga]
2013/04/22(月) 13:02:18.59 ID:CqYQHVO70
このような人も医者と呼ぶべきだろう。
医者は私の問診表と、顔と、側頭部に目をやりながら言った。
髪について悩んでいる人の頭を見ないで欲しい、とも思った。
「ええと、では、こちらの画面をご覧ください」
そう言って医者の助手は私の頭にペン型のカメラを添えた。
ああ、そんなに力を入れないでほしい。抜けてしまうではないか。
「ああ…」
その感嘆で全てを察したような気がした。
重い口がゆっくりと開かれた。
「ダメです、死んでます」
たった十文字で私の心を抉るのはよしてほしい。
もっとオブラートに包むべきだろう。
「ええ…死んでます」
復唱しないでください、と声が出そうだった。
だが、しかし、死んでいるのか。私の毛根はダメなのか。
もう2度と、あの健康的な髪の毛に触ることはかなわないのか。
えりあしの縮れ毛をそっと撫で、私はそこを後にした。
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