6:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage saga]
2013/04/23(火) 08:34:23.50 ID:KvXHbuyeo
憂「そうですね、ここからなら桜が丘の表半分くらいは見えそうですし。紬さんらしい素敵な判断だと思います」
紬「ありがとう」
憂「綺麗な景色は、いつも見ていたいですもんね」
紬「…うん」
時が止まることは望んでいない。大人になった私が望めるはずもない。
そしてきっと、変わらない景色もない。今だって西の空で太陽が沈みつつあり、雲も風に乗って流れている。
それでも、せめて目に見えるものは綺麗なものであってほしいから。
そんな私の考えを、憂ちゃんは全部正確に理解しているんじゃないかな、と思う。
もしかしたら私以上に。
もしかしたら私の弱さまでも。
その考えを裏付けるように、景色に目をやる私に向かって一陣の風が吹く。
紬「っ……」
……ほら、風だけで目を閉じてしまうほど、私は弱いんだ。
憂「紬さん、大丈夫ですか?」
紬「……うん。ちょっとびっくりしただけだから」
憂「ならいいですけど……目にゴミが入ったら変に擦ったりしちゃダメですよ?」
紬「ふふっ。大丈夫よ、先生」
憂「もう……」
からかってはみたけれど、この場における精神的な優位は憂ちゃんのほうに持っていかれている気がした。
それとも私が持っていたはずのそれが、さっきの風に攫われていってしまっただけなのか。
……別にどちらでもいいか。この場所に招待した側、というだけの優位性なんて、どうでもいい。
紬「……お話、聞かせてくれる?」
鳥が風に乗って飛んでいる。
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