過去ログ - 咲の登場人物であるところの染谷まこ及び他の人物達に関する一千一秒物語
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10: ◆EUySvhhUdO5I[saga]
2013/04/23(火) 20:28:18.21 ID:lTJijou3o
@そういう話 2/2

大会当日、自分の試合が終わったので、モニターで部員の試合を応援することにした。
まだ開始まで間があるようで、ぼうっとしていると、隣に染谷先輩が座った。
僕は苦しくなって、離れようかと思案していると、染谷先輩が「せめてこの試合の間はここにおれ」と言うので、従うことにした。
試合が始まったが、まったく応援に身が入らない。
モニターを見ていても何も頭に入ってこない状況の僕に染谷先輩が声をかける。

「あんたが見たっていうのはあん人じゃないんかのう」

その言葉に改めてモニターを見ると、確かに僕が見たあの男がそこにいた。
どうやら染谷先輩は彼の応援に来たようだ。

……ん?
ちょっと待て?
これは女子の試合だぞ。

僕が呆然としていると、隣から、「まあそういうわけで、あんたの壮絶な勘違いじゃ」と聞こえてきた。


大会からの帰り道、僕は染谷先輩と二人、帰路に就いていた。

「で? なにか言うことはあるかの?」

……ごめんなさい。

「まったく。人の話を聞こうとせんからこんなことになるんじゃ」

染谷先輩がぶつぶつと言っているが、僕は返す言葉もない。

「まあええ。わしは心が広いから許しちゃるわ」

ありがとうございます、と応えた後、ここしばらく気になっていたことを染谷先輩に聞いてみることにした。
なんとなく、染谷先輩なら答えてくれそうな気がしたのだ。

染谷先輩が幸せであればそれだけで良いと言った僕の言葉は嘘だったのでしょうか。

僕の問いかけを受けて、ふうん、と染谷先輩。
変なところで真面目なやつじゃのう、などと呟いている。
しばらく沈黙が続いたが、それを破ったのは染谷先輩だった。

「別に嘘というわけではないじゃろう。嫉妬が先に立ったというだけで」

嫉妬、ですか。

「うん。別にそれは悪いことではないわ。むしろそういう場面で嫉妬もせずに、幸せそうで良かった等と言うようなやつはごめんじゃな」

どうしてですか?

「そんな態度を取られたら、本当に自分を好きなのかわからなくなるわ」

そういうものなのだろうか。
染谷先輩が言うのなら、そういうものなのだろうな。

染谷先輩、染谷先輩、ここしばらく染谷先輩と触れ合えなかった分、甘えてもいいですか?
いや、勿論それは全面的に僕のせいではあったのですけれど。

僕が尋ねると、染谷先輩はいたずら気に笑う。

「駄目じゃ。散々な態度を取られ続けた仕返しに、たっぷりと冷たくあしらってやるから覚悟しんさい」

決してそんなことはしないんだろうな、と思わせる笑顔で染谷先輩はそう言って、僕と手を繋いでくれた。


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