5:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
2013/04/25(木) 00:16:47.47 ID:a3eVO7OC0
―五日前 ポートスミス
「さて、明日には帰れるな。ずいぶんと時間を食ってしまったが目的のものは手に入れたし予定の船には間に合う」
「予定より多くはなったが、結果は変わらんしな」
「モノが入れば後は次の依頼主からの依頼も受けねばならんし……」
深夜の森の中、ルイテルは一人ごちながら港町へ向かっていた。
「いかんな、どうも独り言が多い。歳をとると多くなると聞くが本当らしい」
この近辺は港町が近いとはいえ、交通量が昼間から多くはない。対岸のサントヘルマンと比べれば鉱山があるため人や鉱物を運ぶ
貨物船があり、更に内地には大学がある学園都市を含め人通りは多いほうだが
夜も更けたこの時間ともなると人っ子一人いないという表現がぴったりかみ合う。
たまにガサガサと音を立てては動物が前を横切ることはあれど彼にとっては普通の道だった。
この近辺には街道もあり、魔性のモノを寄せ付けないための結界もある。
また、立地としても魔性の領域からは離れておりそのモノ自体が居ない。
結果として森や山に山賊の住処を与えてしまうこととはなるのだが、それでも夜中に泥棒が入った
というのが近隣の村から2ヶ月か3ヶ月に一度報告される程度である。
山賊としても大規模な活動は行えず。夜間にここを通る無知な旅人から身ぐるみをはぐのがせいぜいで
結果として夜間ここを通るものも少なくなり、山賊をするより港で荷役でもするほうが実入りがよいというのが実情だ。
「山賊が出るらしいが、聞き及んでる程度のものなら何とでもなるしなぁ」
また独り言かと思った瞬間に甲高い悲鳴が聞こえてきた。
「ちょっと!何するんですか。やめて、触らないで!」
少し先を見ると数人の男がローブをかぶった人―背格好から女性と推定される―を囲んでいる。
ルイテルにとっては進む先にソレがあっただけだった。
特に意識をするわけでもない、山賊に襲われようとソレはこの時間に自衛手段も持たず
このようなところに居るほうが悪い。彼にとってはまさにソレ程度の存在だった。
特に歩調を変えるでもなくスッと横を通り過ぎようとしたとき。
「おっと、俺たちが見えないのかい?」
一人の山賊が山刀を振りかざしながら行く手をさえぎる。
「見えるが何か問題でもあるか?」
「俺達は山賊よぉ、命がおしけry……ウグッ」
乾いた音、そして一瞬の閃光が走った瞬間目の前の山賊は膝から崩れ落ちる。
「てめぇ、何しやがった」
女性を囲んでいるほかの者も異変に気づき、一斉にルイテルめがけて突進する。
続けざまに乾いた音が5回響いた後 その場に立っているのは少女とルイテルだけだった。
「とまぁこんなところだが」
話終えたという風に目をつぶるルイテル
「ほ〜ってぇことはこのお嬢ちゃんの白馬の王子様ってわけだ」
とすかさずモンドが茶々を入れる
「ち、違いますっ。私魔法科専攻でしたけど、あんなのは一度も見たことがなくてだから、秘密が知りたいんです」
「ま、そういうことにしとこうか」
笑い声に包まれながら嵐の夜は更けてゆく
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