15: ◆auvPFY1.jw[saga sage]
2013/04/26(金) 14:59:23.63 ID:apyY2YgH0
ひと通り今日のデートへの意気込みを伝えていた。
そうだったんですか。と彼女は目をまるくした。
そして、ちひろさんに酒のせいではない頬の紅潮が見て取れた。
少し嬉しそうに、呑みなおした酒の氷を、少しだけ揺らしながら、だった。
ぼくは少しだけ声を落とし、真剣なトーンで尋ねた。
「…また、お誘いしてもいいですか」
『ふふっ。もちろん、ですよ』
『…楽しみに、してますから』
なんと肯定的な返答なのだろう。
ぼくは飛び上がりそうになってしまった。
その喜びは、ひざの上の握りこぶしに収束させた。
ぼくたちは、互いに背を向け、夜の明かりの中に消えていった。
できることなら、家へ送り届けるくらいはしたかった。
無論、邪な考えなど抱いてはいない。
彼女は美人だ。
それが意味するところを辿れば、誰しもがそう思うだろう。
ぼくは家に戻っても、この酔いをさましたくはなかった。
夢をみていたかったのだ。彼女との夢を。
さめなければいい。
この、真夏の夜の夢が。
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