3: ◆auvPFY1.jw[saga sage]
2013/04/26(金) 14:52:13.71 ID:apyY2YgH0
「はい?」
ぼくが後ろを振り返ると、ちひろさんが嬉しそうに立っていた。
その端正な顔立ちには、どんな表情もよく似合う。
今の、小悪魔のような微笑みさえも。
『お仕事、慣れてきたみたいで、よかったです』
『お疲れでしょうし、コーヒーです』
『あ、プロデューサーさんにはお砂糖が1つ…と』
ぼくのコーヒーの好みを覚えてくれていた。
数度しかいれてもらったことがない、というのに。
このチャンスを逃す手はない。笑顔を携え、ぼくは言った。
「仕事も終わりましたから、休憩にしましょうか」
『はいっ』
絵に描いたような事務用品のチェアから腰を上げ、ソファに下ろした。
ああ、やはりこちらの方がやわらかく、程よい弾力がある。
ちひろさんは、ぼくの対面に腰を下ろしていた。
ガラステーブルをはさんでも、その距離は1メートルもない。
意識してしまったようで、ぼくの頬は熱をもった。
ぼくはまっすぐ彼女をみられなかった。
ああ、意識するまでは、気にしていなかったというのに。
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