4: ◆auvPFY1.jw[saga sage]
2013/04/26(金) 14:52:54.40 ID:apyY2YgH0
コーヒーに手を付け、カップで顔を半分隠した。
呼吸を整え、ちひろさんをみた。
淡い栗色をした、ゆるやかに弧を描く髪。
つんとすました鼻に、すらりとした輪郭があった。
目は驚くほど大きく、睫毛も非常に長い。
性格も申し分なく、まさに理想の女性と言える。
『あの…コーヒー、お口に合いませんでしたか』
とんでもない。香り高く、文句のつけようがない。
ぼくは、慌ててその誤解を訂正した。
『ああ、よかったです』
嬉しそうに、彼女はにっこりと笑ってくれた。
やはり、笑っている顔はとても美しい。
そうだ。チャンスは今だろう。
彼女を…ええと、そうだ。誘うのだ。
食事でも、酒の席でも、なんでもいい。
そう思っていたとき、彼女は口を開いた。
『では、私はもう仕事もないので、帰ります』
『プロデューサーさん、社長、お疲れさまでした』
奥から社長のお疲れさま、という労いの声が聞こえる。
そんな。このまま誘えないのか?それはダメだ。
考えているうちに出て行ってしまった。
ぼくもすぐに社長に挨拶し、ちひろさんを追いかけた。
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