6: ◆auvPFY1.jw[saga sage]
2013/04/26(金) 14:54:17.19 ID:apyY2YgH0
連れて行ってもらった先は、少し値の張るバーだった。
ちひろさんは、こういうお店も知っているのか。
こういうところに、1人で来るのだろうか。
それとも、男性と来ているのだろうか。
ああ、邪推してはいけない。彼女のプライバシーだ。
ぼくは、銘柄もわからないので、口当たりのいいものを頼んだ。
ちひろさんは、慣れた様子でお酒を頼んでいた。
どう話を切り出すべきだろうか。
『今日は、誘ってくれて嬉しかったです』
彼女に先を越されてしまった。申し訳ない。
ぼくは、ちひろさんを飽きさせぬよう努力していた。
「こちらこそ、応じてくれて嬉しかったです」
恋愛指南書なるものを、以前友人から押し付けられていた。
今になって、それを熟読しておくべきだった、と後悔した。
『プロデューサーさんは、休日はどうしているんですか?』
彼女の気の利いた一言で、ぼくは饒舌に話すことができた。
それをきっかけに、ちひろさんのプライベートも知ることができた。
交際している男性はいないこと、ひとり暮らしであること。
休日はショッピングをしていたり、読書をしたり。
なんとも知的で女性的な趣味だった。
ひと通り話し終え、その場は割り勘で収まった。
男ならば、好意を寄せる女性には、見栄を張りたいのだが。
そして、さらにちひろさんは、嬉しい一言をつけくわえてくれたのだ。
『また、誘っていただけるのを、待ってます』
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