過去ログ - ジャブローで撃ち落とされた女ジオン兵が…
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11:キャタピラさん ◆EhtsT9zeko
2013/04/28(日) 02:47:26.74 ID:mfe01pas0
コツコツ…

コツコツコツ…

何かが当たる音がする。それが何度も鳴るものだから、私は目を覚ました。キャノピーの向こうには青空が見える。朝だ…。

コツコツ。

 ふと音のする方を見ると、そこには人がいた。小銃を抱え、連邦の軍服に身を包んだ男が。

 私はすぐさま事態を理解した。それと同時に

「こりゃぁ、まずいな」

と彼女の声もする。

「すまん、まさかビーコンなしに見つけられるとは思ってなかった」

毛布の中から彼女の顔を見上げると、苦渋にゆがんでいた。

「このままじゃ、捕虜か、もしかしたら、この場で…」

「あぁ、いや、それはアタシが絶対させない…けど、捕まったら、遅かれ早かれ、その可能性は出てくるよなぁ…」

彼女は、毛布の中で私の体を抱きしめた。

「何があっても、私に話を合わせろ、良いな?」

彼女は、力強い口調でそう言い、それから

「足元に、私のパイロットスーツがある。それを着ろ。あんたは私の飛行隊の編隊員。脱出したところを合流して、救助を待っていた。名前はカレン・ハガード」

と言ってくる。

私は彼女の言うとおり、足元にあった飛行服に、毛布をかぶりながら足を通す。

「ちゃんと、裾でブーツ隠せよ。それ、中に置いといて正解だったな、外に干してたんじゃぁ、一発でバレてた」

彼女はかかっていた毛布を抑えながら言う。まったく、彼女の言うとおりだ。私は飛行服を着込んで念のために認識票も外してポケットに入れ、彼女に合図をした。

「よし、キャノピー開けるぞ」

彼女がハンドルを回してキャノピーを開ける。体を起こすと、外には数人の連邦軍兵士がいて、機体を取り囲んでいた。

「うっく、やっぱ体ちょっと痛いわ」

彼女が大きく伸びをして言う。

「ごめん、乗ってたから…」

「あぁ、いや、この床のせいだ」

彼女はホントにそう思っているのか、と言うような、気の使い方をしながら、私にそっと拳銃を渡してきた。

「持ってろ。無茶はすんなよ。でも、やばくなったら、アタシなんかほっといて逃げろ」

そう言って私の体を後ろから押して、立ち上がらせた。

私がジオン兵だということがバレて逃げだしたら、彼女がたちまち疑われてしまう。下手をすれば、スパイ容疑で銃殺なんてことにもなりかねない…そんなのは、ダメだ。

「救助に来てくれたのか?ありがたい、ビーコンが壊れちまって、途方にくれてたんだ!」

彼女が連邦の兵士たちに言う。

「あんた、オメガ隊か?」
「あぁ、オメガ隊のアヤ・ミナト少尉だ。こっちは、カレン・ハガード少尉。あんたたちは?」
「第7歩兵大隊だ。この周辺の戦況調査を任されてる」
「そうか、ご苦労なことだ」
「それにしても、あんたらオメガ隊の生存率は神懸っているな!」
「他の編隊員で、生き残った者は?」
「全機撃墜されたって話だが、パイロットたちは全員脱出して無事だったって話だ。あんたら二人で最後だよ」

兵士はそう言って笑った。

「ね、カレンって人、バレないの?」

私は小声で彼女に聞いた。

「面識があるやつでなければ大丈夫だ。カレン本人は撃墜されて死んでる…確認したから」

アヤも小声で答える。


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