過去ログ - ジャブローで撃ち落とされた女ジオン兵が…
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キャタピラさん
◆EhtsT9zeko
2013/04/28(日) 02:53:28.92 ID:mfe01pas0
さて、私はこれからどうするか。アヤと汗を流しに行って、今夜はこの街で休めるだろうか。それから、北米に戻るべきだろう。ジオンは、オデッサに続いてジャブローでも相当な兵力を失った。一人でも多くの兵員が必要なはずだ。連邦の反抗に備えるためにも、一刻も早く帰還する必要がある…
「もし、そこのご婦人?」
そんなことを考えていた私に、誰かがそう声をかけてきた。振り返ると、そこには連邦の軍服を着た兵士たちが数人立っていた。その腕には「MP」と書かれた腕章がついている。
「はい、なんでしょう?」
内心の驚きを何とかかくして、平静に対応する。しかし、MPは穏やかな口調とは裏腹に、確信に満ちた鋭さで私の足元を見た。
「ご婦人がはいている、そのブーツは、市販のものではなさそうですね?」
しまった!服屋には靴が売っていなかったら、ジーンズで隠していた。ほどんど見えない状態だったから、多少ならごまかせると思ったのだが…うかつだ。
「こ、これは、その、譲り受けたものでして。どこから出た物かは…存じません」
「ほう、さようですか。それでは、その譲り手の方について教えていただけませんか?あ、いや、その前に、そのお荷物の検閲をさせていただけると幸いです」
「みせろ!」
私の返事を聞かず、他のMPが私のバックパックを引っ掴む。
「やめてください!」
見られるわけにはいかない!抵抗するが、私も軍人とは言え、同じ軍人の男数人に力でかなうはずがない。私の荷物はたちまち奪い取られ、中を見られてしまった。
「これは…ジオンの軍服!?」
「認識票があります…!」
兵士の一人が、認識票をバックから出して、上官と思しき私に話しかけてきたMPに手渡す。
「さて、レナ・リケ・ヘスラー少尉。何用でジオン兵がこのようなところにいるのか、説明していただこう。ご同行願えるかな?」
上官MPが手をかざすと、部下たちが私に小銃を突きつけた。
――ここまで、か。
私は観念して、両手をかざした。
その場には、すぐに車がやってきて、私は手錠を掛けられてそれに押し込まれる。私を見つめる民衆の中に、アヤの姿があった。彼女は、もの悲しげな表情で、私を見つめていた。
少尉とはいえ、士官だ。しかも、戦場で捕虜になったのではなく、連邦の機能中枢に入り込んだいわばスパイ容疑。恐らく、私は拷問されるのだろう。情報を引き出すために。一般兵の私が知る情報なんてたかが知れているが、それでも搾り取れるだけ搾り取ろうとするだろう。そして、情報を引き出すだけ引き出したら…その、あとは…銃殺か、いや、拷問中に死んでしまうか…。それならば、自ら命を絶つことも考えた方が。でもそれは怖いな…なら、このまま逃亡を図って、射殺された方がいいのかもしれない。
ふと、亡くなった両親や兄のことが、頭に浮かんできていた。
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