過去ログ - ジャブローで撃ち落とされた女ジオン兵が…
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キャタピラさん
◆EhtsT9zeko
2013/04/28(日) 12:20:04.21 ID:mfe01pas0
食べ終わってから、彼女がポツリと口を開いた。
「ごめん、アタシのせいだ」
アヤは顔を伏せて言った。
「アタシが、もうちょっと警戒してたら、こんなことには…」
「ううん」
私は首を振った。彼女のせいであるはずがない。
安心して油断していたのは私の方だ。スパイを警戒している者がいることくらい、想像しておくべきだったし、
何より、気を緩めて、いつまでもジオン軍のブーツなんてはいていたから。彼女になんの責任もない。
「だけど、こんなにされて!」
アヤはそうって、鉄格子の隙間から手を入れ、おずおずと私の顔に触れた。
でも、腫れ上がった私の顔の皮膚はその温度を感じることはできなかった。
「私が油断していたのがいけなかった。気にやまないで。あなたは私に、とてもとても良くしてくれた。それだけで十分」
私は、泣きながら彼女の手を握って、そっと鉄格子の向こう側に押し戻した。
これ以上、彼女に迷惑をかけるわけにはいかない。下手をすれば、彼女だって私の二の舞だ。
彼女がいなかったら、私は今ごろワニのお腹の中か、ジャングルの中で行き倒れか、
女性兵士らしく、連邦兵に玩弄されてから殺されていただろう。
なんとか私を助けようと嘘までついてくれた彼女を、これ以上巻き込むわけにはいかなかった。
「だから、もう行って。あなたまで危険になる」
私はそう言った。でも、それを聞いた彼女は、いっそう表情を険しくした。
それから、ふっと顔から力を抜くと、苦笑いを浮かべて
「実は、もう手遅れだったりするんだけど…ね」
とつぶやくように言った。
ドサッ
遠くでかすかに、何か重いものが地面に落ちる音がする。
「さって、行こうか。歩ける?」
彼女はさっと立ち上がると、持っていた鍵で、私の鉄格子を開けた。
まさか…私を脱走させる気!?そ、そんなことしたら…
「そんなことしたら、あなたが…」
「あーだからもう手遅れなんだって。警備兵に記憶飛ぶくらいの量の睡眠薬飲ませちゃったし。
監視カメラも、逃走ルート用のは回線いじって、ダミーの映像流すシステム組んできちゃったし、警報装置も細工済み。
巡回の兵士のルートも抑えてあるし、あとは、監視センサーなんかも、あらかた潰してきちゃったしな」
アヤはそう言うと私の手を取った。
「行くぞ」
私の返事を聞かずに、そう言って走り出した。
地面に崩れ落ちるようにして眠っている警備の兵士の脇を抜け、階段を上がり、狭い廊下を走り抜けて、さらに登りの階段。
そこから、また狭い廊下に出て、端にある小部屋に入り、食糧庫らしいその部屋の、物資搬入のための通用路へ出る。
そこには、一台の車がとまっていた。軍用車ではなく、自家用のSUVだ。
「後ろに乗って」
アヤはそう言うと素早く運転席に乗り込んだ。
私は後部座席に乗り込む。それを確認すると、アヤは車を急発進させた。
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