過去ログ - ジャブローで撃ち落とされた女ジオン兵が…
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キャタピラさん
◆EhtsT9zeko
[sage]
2013/04/29(月) 22:19:31.00 ID:IQ+37yxC0
不意に、背中に悪寒が走った。とっさにアヤのシャツの袖口をつかんで歩みを止めさせる。
「なんだよ?…ん?」
アヤの反応に答えずに、私は彼女を欄干のそばまで引っ張って行って、海の遠くの方を指差した。
「あ、あそこ、見た?」
「…ん?あ、あぁ、何かいたか?見えなかった」
私が言わんとしたことを、彼女も理解してくれたようだった。
私たちが歩いていた廊下の先から、小ざっぱりしたリゾート風のいでたちの女性がいたからだ。
彼女は両手に売店の買い物袋を提げている。食料の様だ。一人分の量ではない。
「イルカかな?何か大きいのがはねたんだよ!」
私は、そんなもの見つけてもいないのに言った。
「えぇ?どこだよ?」
アヤも私の演技に乗ってくる。
「ホラ、あそこ!」
私が虚空をもう一度指差すと、隣に立っていたアヤが、私の指先を追うように私のすぐ後ろに立って、体を押し付けてきた。
―――まさか!
アヤはその瞬間、確かに私の盾になろうとしていた。違う、そんなことしたら!
そう思ってアヤを別の方向に誘導しようとするが、アヤが脚を踏ん張って身じろぎ一つしない。
私は、アヤの手首を握って渾身の力を込めて引っ張った。彼女は少しよろけて欄干に手を付く。
私はそのままアヤの体に肩をぶつけて、女性から遠ざけようと試みる。
廊下を歩いてきた女性は、ペタペタとサンダルの足音をさせて、そんな私たちの後ろを通り過ぎて行った。
全身を緊張させ、全部の神経をその女の方に向けつつ、なおも私はアヤが無茶をしないように捕まえながら
「ほら!またはねた!」
と芝居を続ける。
「見えないよ。気のせいじゃないのか?」
そう言うアヤは、なおも女性と私の間に入ろうと私の体を自分の方に引っ張ったり体制を動かそうとしたりしている。
もう、なんでそうなの!
「上から見てみよう!」
私はとっさにそう言って、そのままアヤの手を引いて、女が歩いてきた方向へと駆け出して、
先ほどいた前部甲板とは反対方向の、後部甲板へ続く通路へ入った。
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