7:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage saga]
2013/04/29(月) 07:33:56.93 ID:IfvVtyDz0
やってしまった。何が紳士的だ。なにがクーデターだ。ふざけるのもいい加減にしろ。いくら鳩を徒歩で
追いかけるような浮世離れした、というかちょっと抜けたところのある彼女とはいえ、初対面の男から
いきなり嘘100%のむさ苦しいピジョンストーリーなんぞを聞かされたら「うわ、気持ち悪っ」と思うに違い
ない。彼女の美貌で脳が沸騰していたとはいえ、俺は最悪の形で彼女にファーストコンタクトを仕掛けて
しまったのだ。
なんてことを考えながら、俺はいつからか凛太郎に向けていた視線をおそるおそる上げ、せめて最後に
その美貌を目に焼き付けようと彼女を見たところ、
「……そう……だったんですか……凛太郎君は……」
彼女は目に涙を浮かべ、心の底から凛太郎の運命を悲しんでいるようであった。
しまったことになってしまった。これは一体どういうことであろうか?というか何?信じたの?俺の妄想
100%のピジョンストーリーを?混乱して思わず俺も泣きそうになったがそこは男の子。ぐっと堪えて今の
状況を冷静に分析してみることにした。
まず彼女。俺の話を聞いて嫌な顔をするどころか感極まって涙ぐんでいるあたり、というかそれ以前に
昼間の公園で鳩を追いかけたりしてるあたりで、まあ言葉は悪いがアホの子である。とはいえこんな
美人に対してたとえ脳内とはいえアホアホ言いたくないのでここはひとつ純粋と思うことにする。その
純粋な彼女はどうも俺に対して警戒心とか虚栄心めいたものがない様子で、俺との出会いが不快だと
思っている節もない。ここで俺がとるべき最善の方策としては、泣きそうな彼女を宥めて鳩の話か何かを
適当にして、最終的にお互い今日の出会いが良い思い出になるよう仕向けることであろう。俺としても
昼間から女の子を泣かせたくはない。夜ならともかく。むふ。一瞬脳内に芽生えた邪心を踏みにじると、
俺は彼女に声をかけた。
「もし宜しければ、あなたからも凛太郎に……この豆を与えてやっては頂けませんか」
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