12:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/04/29(月) 11:21:07.65 ID:bD/aQ50Po
198/8
父は倒れてから、ずっと青白い顔でベッドに寝ています。
昔あった''てんてき''というものがあればいいと、父は掠れた声で言いました。
13:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/04/29(月) 11:22:41.89 ID:bD/aQ50Po
198/9
探しに行こうとしたら、母に見つかりました。
「そんなものはもうないのよ」
と怒られました。
14:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/04/29(月) 11:23:33.18 ID:bD/aQ50Po
198/11
父は寝たきりなので、日にちが分からなくなっているかもしれない。
そう思って日記帳を持って父のところに行きました。
15:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/04/29(月) 11:24:25.61 ID:bD/aQ50Po
198/12
明日、父のお葬式があるそうです。
父が棺桶に入るそうなので、赤い花を探してみました。
けれど、どこにもありません…。
16:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/04/29(月) 11:27:50.42 ID:bD/aQ50Po
198/13
朝、父に日にちを教えてあげようと思って、日記帳を持って階段を降りようとしました。
その時に日記帳を、階段下にいた妹目掛けて落としてしまいました。
17:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/04/29(月) 11:28:37.21 ID:bD/aQ50Po
父のところに戻ると、母が取り乱した様子で妹を揺さぶっていました。
母は赤い花があるわけがないと言っていたので、驚いているんでしょう。
僕が近づくと、母はこちらを見て怒り始めました。
18:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/04/29(月) 11:31:05.45 ID:bD/aQ50Po
198/14
試しに自分自身にも日記帳を叩き付けてみました。
そうしたら、自分にも赤い花が咲くことが分かりました。
これを書き終わったら父や妹、母のところでもっと咲かせることにします。
19:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/04/29(月) 11:32:14.45 ID:bD/aQ50Po
俺は古びた分厚い本を閉じた。
何かの研究書かと思ったが、違ったようだ。
興味の失った本を、地面へ放り投げる。
20:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/04/29(月) 11:34:24.44 ID:bD/aQ50Po
二十年程前、世界は衰退した。
21:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/04/29(月) 11:35:07.52 ID:bD/aQ50Po
そして地下に潜ったまま十数年が経過し、新しい命が産まれ始めた。
だが、子どもは自然を知らないまま育った。
それ故に、この『日記帳』の様な事故が起こったのだろう…。
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