過去ログ - 佐天「佐天さんの学園都市七大不思議探訪っ!はっじっまっるっよーーー!」
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32:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/05/08(水) 10:59:19.42 ID:19zO7Iut0
――生徒指導室 19時

佐天「昔々、この学校に寮があった頃のお話です。当時はまだそれが『寄宿舎』と呼ばれていた時代」

黄泉川「明治から大正にかけて、大学や高校はおっきな街や都会にしかなかったじゃん」

黄泉川「だから地方からの学生は親元を離れ、全寮制の学校が殆どだったじゃんよ」

佐天「ある男性寮へ泥棒が入った所から始まります」

佐天「寄宿舎は親元を離れた学生で一杯。仕送りで貰ったお金や時計を持ってるだろう」

佐天「盗みに入るのは絶好の場所だ、と泥棒は考えました」

上条「時計って昔は高級品だったんですか?」

黄泉川「そこそこ安いのもあったじゃんが、大抵親からは『苦しくなったら質屋へ入れなさいね』って言い含まれてるじゃん?」

黄泉川「仕送りだってATMがある訳で無し、振り込んでから引き落とせるまで、郵送されてくるまでは何日もかかるじゃんよ」

佐天「泥棒はお金や時計をたくさん盗みました。けれどもそこは若くて大勢の男の人達が居る寮です」

佐天「泥棒は見つかってしまい、トイレの個室に隠れるしかありませんでした」

佐天「当然、学生達は泥棒を捜します。押し入れ、使っていない部屋、そして――泥棒が隠れているトイレまでやってきました」

佐天「学生の一人はこう言いました――『時計だ!時計の音がするじゃないか!』」

佐天「そうです。泥棒は沢山の時計を盗んだため、その秒針が、ちっ、ちっ、ちっ、ちっ、と煩い音を立てていました」

佐天「一つ一つなら小さく、誰も気付かなかった音ですが、沢山盗んでしまったお陰で泥棒の居場所を教えてしまったのです」

佐天「学生達は泥棒を怒鳴りました――『おい、出て来い!』」

佐天「本来であれば警察を呼び、逮捕して貰うのが一番だったのでしょうが、生徒達はまだ若い未熟な学生ばかり、泥棒をなじる声は続きます」

佐天「『殺される!』――そう思った泥棒は出て来ません。生徒達は乱暴に泥棒の籠もっている扉を叩き続けました」

佐天「どんどんどんっ、どんどんどんっ」

佐天「一時間ぐらい経って警官が駆けつけました。警官は異常に興奮している生徒達を宥め、泥棒に大人しく出て来るように呼びかけました」

佐天「しかし泥棒からの返事はありません。トイレには、ちっ、ちっ、ちっ、ちっ、と言う秒針の音だけが響きます」

佐天「警官は仕方が無くドアを壊して個室へ入ってみると、そこで見たモノは――個室で首を吊って死んでいる泥棒の姿でした」

佐天「両腕にいっぱいの腕時計を巻き付けたまま、ちっ、ちっ、ちっ、ちっ、と言う音をさせながら」

佐天「それ以来――泥棒が死んだトイレではね、聞こえるんですよ。そう、丁度こんな夜には、ね」

佐天「誰も居ない筈の個室から、ちっ、ちっ、ちっ、ちっ、ってね――」

上条「……」

上条「えっ?」


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