773:以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします
2014/03/25(火) 00:27:40.43 ID:BgI3GEk5o
モバP「グッド・バイ」
他の事務所の、同業であったとあるプロデューサーが亡くなって、
その告別式の終わり頃から雨が降り始めた。早春の雨である。
その帰り道、二人の男が相合傘で歩いている。双方とも、そのプロデューサーとは義理ひとつ。
話題は女についてである。メガネをかけた男が口を開く。
「あの人も、ずいぶんと女垂らしだったみたいだな。死因は階段踏み外しらしいが
実際はどうだがな」
「不謹慎だぞ」
「何、誰も聞いちゃいないさ。しかしこうなるとお前もそろそろ整理したほうが
いいんじゃないか?」
「わかってはいる」
メガネをかけてないほうの男が頭をかく。
この男と話せばこうなるだろうということは彼も予測していたのだが
あいにくの雨で傘を持ち合わせておらず、仕方なしに入れてもらえばこの様であった。
何ゆえにかくも攻められているのか。なぜならば彼は無自覚な女垂らしだからである。
こういった手合いの人間は多少ルックスもよく、なおかつ人に親切であり、さらに
優柔不断というのは相場で決まっていて、さらに他者の好意に鈍感とまで来る。
無論、彼らからすれば女に気を持たせて、もてあそんでいるつもりはない。だからこそ
同業でありながら浮いた話のないメガネからすれば嫌味の一つや二つを言いたくなる相手なのだ。
だがこのような相手がいるからこそ彼は自分がそういった類の人間だと自覚すること
が出来たのだ。故に彼はその事実を知った時、ひどく困惑した。
彼はプロデューサーとしてとある事務所で働いている。所属しているアイドルは
みな女の子だ。当然ながら恋愛沙汰はご法度であり、アイドルにはよく言い聞かせている。
その上、彼はアイドルたちには度々フィアンセがいるという話までしているのだ。
フィアンセは事情から故郷の地にいるのだが、いずれはこの地に家を買い、
一緒に住みたいと思っている。
そこまで言い聞かせた上で何ゆえに彼がご法度の原因になるというのか。彼にはわからない。
1002Res/524.23 KB
↑[8] 前[4] 次[6]
板[3] 1-[1] l20
このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています。
もう書き込みできません。