13:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/05/02(木) 11:54:09.63 ID:kADqiJRHo
穴は深く、地下牢まで続いていた。
先に落ちていった咲とさほど時間を置いて降りたわけでもないのに、照が着地したときには六感で捉えられる物影はどこにもいなかった。
微かな日光で、周囲の視界はそれほど悪くはないが、一旦奥まで進んでしまうと追うことは難しい。
六感に映らない生物は基本ありえない。それを可能とする方法の一つに、先ほどのハギヨシが行った攻性迷彩でこちらの感覚を誤魔化すという幻術魔法がある。
しかし生前の咲には精神・肉体干渉系の青魔法を使いこなすことはできなかったはずだ。
その人間が使う魔法の得手不得手は人体に依存し、魂はエネルギーにしかなりえない。死霊術でどれだけ高位の魔法使いの命を消費しようと、得られるのは多少の燃費改善程度だ。
咲は植物が好きだった。理由の一端として、彼女が育てる花はどれだけ劣悪な環境でもきちんと咲かせることができたからだ。
何事もなく平和に勉学に励めば十指の一人になりえたほどに、咲の生命付与魔法は天才的だった。
最悪の状況を考える。
こちらの意図を読み取ったうえで、決戦を選ばず菫達を追いにここから逃げ出したという線もありえないことはない。
結局、とんでもなくヘタクソな“走査”を使ってみることにした。
咲「あ」
照「なるほどな。何かを適当な蔓を生やして、そいつに隠れていたつもりか」
咲「このままでは一日かけても見つからなそうなので、やめました」
照「助かる」
咲「全員でかかってくればいいのに」
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