41:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/05/04(土) 01:39:11.27 ID:VNtHflXfo
臆することもなく、照は流れる刃の側面に拳を当て、一気に捻り上げる。
螺旋の力を借りて最小の力で上方へ払いのけた。菫が得意としていた『白刃流し』である。
続けて、よろめく咲の腹へ寸勁。踏み込みは甘かったが、体重の軽い咲には十分だった。
ごぼっ。
吹き飛ばされ、仰向けで内容物を吐く。
菫には感謝しなけねばならない。日々の訓練が活きた。
魔法も剣も用いぬ徒手戦における菫は化け物である。いつかは彼女を越えてやろうという気概がここにきて発揮されたのだ。
寸頸は内蔵を破壊した。魔法回路を切り刻み、咲は立ち上がることさえできなかった。
照「玄は最後になんと言っていた」
咲「……」
一歩詰め寄る。
咲「『姉に会わせてほしいと』」
照「それが、あれか」
咲「……そうです」
また一歩詰め寄った。
照「お前は私に会えて嬉しかったか?」
咲「…………いいえ」
照の動きが止まる。
這い蹲る咲に影が覆いかぶさる形で、照は笑みを向けた。
照「私は、少しだけ嬉しかったよ」
咲は、照がこちらへ屈みこんだのだと思った。
死を意識し、目を閉じた。
――。
三秒たっても、何も起きない。
砂利の擦れる音がして目を開けると、照が目の前でうつ伏せに横たわっていた。
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