70:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/05/05(日) 01:18:07.06 ID:jW8+x/nBo
淡「ふふっ、会ってすぐだしね。私はもう行くよ」
咲「うん。あっ、また私達会えるかな」
淡「――誰かがそれを許してくれるのであれば」
咲「わかった! また淡ちゃんにお願いしてこっちに来るよ!」
淡「ほーい」
淡の覚悟が揺らいだ。咲とは絶対に会いたくなかった。
初めての親友との再会は、練り続けた感情を瓦解させるには容易すぎる。
咲が見えなくなったところで壁に身体を預け、目閉じて肩を落とす。
嫌なことを考えた。もし、自分が理由をつけて転送をしなければ咲はずっとこの世界にいてくれる。
何でもいい。能力を失ったとかやり方を忘れたとか、そんな幼稚な言い訳で彼女をここに拘束できるのだ。
転送のために用意した魔方陣を破壊しに行こうか本気で考えた。自動起動の、淡が組んだ最高傑作をだ。
このままにしておけば、自分のいない間に咲は帰ってしまう。
心の依り代が欲しかった。友達が欲しかった。
玄も咲も、なぜ自分の前から消えていってしまうのだろう。
一瞬の思考の末、その答えに気付き、胃の中の物を戻しそうになる。
原因は自分だった。
――疫病神。
実父に言われた、最後の言葉だった。
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