過去ログ - モバP「お題でSS」
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10:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage saga]
2013/05/02(木) 12:40:09.98 ID:3+/L7r7C0

本番さながら、と言ったセットに俺は驚いていた。

メイクを終え、それを完璧に着こなした彼女がそこにいた。
言葉も、息を呑むのも忘れ、俺の視線は奪われた。

「…すごく、素敵です」

『…ありがとう』

何だか、照れくさい気分になって、振り払うように俺は言った。
ああ、そして…彼女も同じのようだった。

「では、行きましょうか」

『ええ』

彼女は俺の腕に手を回し、俺もゆっくりと歩き出した。
結婚とは、このような幸せに溢れているのか。
彼女は耳元で、俺にそっと呟いた。

『ファンレターで「るみちゃん結婚して」ですって。小さな男の子からよ』

「あはは。俺も負けていられません」

『………』

『それって…』

俺は何も言わず、彼女に向かって、ただ、笑いかけた。
意味を察してくれたかどうかは…定かではないが。
彼女は俺にだけ聞こえる声で、続けて言った。

「ちゃんと…ちゃんと横にいて欲しいの。お願い」

その手は微かに震えていた。
俺も同じだ。それ以上に緊張している。
長く続く道を終え、祝福の花束が舞い上がっていた。

「私…和久井留美はずっと貴方のそばにいると誓うわ」

「それがプロデューサーとアイドルの関係でも、それ以上でも…」

『…俺も、留美さんのそばに…ずっと、そばにいることを誓います』

俺たちは、誰にも聞こえない声で囁きあって。

誓いの言葉を述べて、薄いレースの先には、彼女の端正な顔立ちがあった。
これからも長く続く道の先。そして、仮初の舞台の上で。

俺たちは、真実の愛を誓った。

                            おわり




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