53:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga sage]
2013/05/02(木) 14:50:26.48 ID:3+/L7r7C0
…自意識過剰でないことを祈るばかりだが、これは。
そんなことがあるだろうか?
黒川千秋だぞ。クールビューティだ。
彼女が…まさか、俺に…嫉妬をしている、のか。
「…千秋は、今日…レッスン終わってから、時間あるかな」
『あるけれど。どうかしたのかしら?』
そわそわしている。膝の上の握りこぶしが震えている。
頬も赤い。息遣いも間近で聞こえるほどだ。
背の関係で俺に上目遣いの状態だ。
そして…なんだか、その瞳は潤んでいた。
俺。俺はどうなんだ。千秋を…その。
ああ、こんなことを考えていても仕方が無い。
たまに、そう。たまにはちょっと誘ってみるだけだ。
「千秋…帰り、どこか寄って行かないか」
『い、いいの?いいえ、そうではなくて。わかった』
『時間!時間は…』
「今から行こう、俺も仕事…終わったからさ」
『え、ええ。なら、準備があるから…10分後に下で』
ぱたぱたと忙しなく駆けていく千秋が愛らしく思えた。
その姿を見ていたアイドルは笑っていた。
何か深い意味があるかのように。
何もしないよ。本当だよ。ご飯食べるだけだよ。
『…お待たせ』
さっきより格段にメイクに手が入っており、髪も整っている。
バッグに両手を添え、非常に女の娘らしいではないか。
「行こう、か」
『…うん』
先を歩く俺の服の裾を、そっと掴み、俺たちは歩き出した。
そう。これは、たまに…ごくたまに、あることだ。
こんな日も、あっていいと思うのだ。
さて、今日はどこへ行こうか。
おわり
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