32:梨と桃の楽園 ◆AdET9Lsioo[saga sage]
2013/05/03(金) 13:31:57.42 ID:vxqFQMVAo
「一方通行が死んだから、絶対能力進化計画は中止。
その後、様々な非人道的実験に送られるって聞いたけど?」
「あ、それはないわよ」
「ふざけるな! 一方通行は、そのせいで!」
「布束さんから聞いたのね……
説明するから彼女にも伝えてくれないかしら?」
芳川の真剣な雰囲気に3人は閉口せざるをえなかった。
「彼はまだ生きてるわ。
あくまで生物学的にだけど」
「え? どういうこと?」
「君達は、一方通行の体が爆散したところは見たのよね?
確かにその通りに体の内臓は再生不可能なレベルで粉砕されていた。
脳を残してね」
「脳?」
「そうよ、学園都市最高位の頭脳
今、第一位は生命維持装置に繋がれてるわ。
それ以外の干渉を反射で遮断してるようだけど」
「何のために?」
「超能力者ってのは貴重よ。
簡単には死なせてもらえない。
だからこそ、彼はあえて頭脳は残した。
絶対能力進化計画を中止にさせないために」
「あいつはずっと止めたかったんじゃ」
「絶対能力進化計画が継続されている限り
妹達には万全な健康状態が求められる。
だから他の実験に回されることはないわ。
上層部は必死に妹達を生かそうとするでしょうね」
『これが悪党だ』
―――それが彼の生き様だったのだろう。
―――どれだけ強ければ人はこんなふうに生きていけるのだろう
―――限りない絶望の中、それでも矜持を胸に抱いて生きていけるのだろうか
―――ただ一粒の涙も流さないで生きていけるだろうか
上条には彼の最後の笑顔と涙の意味が分かった気がした
「おまえは、それで幸せだったのかよ……?」
その問いに答えるべき少年は
暗い闇の中、一人沈んでいた。
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