過去ログ - 詢子「行儀の悪いほむほむにはお仕置きが必要だな」
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2013/11/18(月) 04:16:32.98 ID:SvwQ9ySq0
37 仔白まどは気になる

めがほむとの会話がひと段落着いたその時、誰もが声を潜めて暗く沈んでいた巣の中に、歓声が沸いた。

ホッムホムー! はんにんが つかまったよ!
マッドーマドォ! りぼほむと しろまどが やっつけてくれたよ!

まるで跳ね回るような軽快な足取りで、いち早くその情報を知ったほむほむとまどまどが走りながら叫んでいる。

ミャドォ! ごめんね わたし いかなくちゃ!

めがほむが頷いたのを確認してから、仔白まどは駆け出した。
今走り去って行ったふたりのやって来た方向へ。

目的の場所は既に知らせを聞いたほむまどたちが集まっていたので、すぐに分かった。
仔白まどがやって来たのに気付くと、みんな道を開けてくれたので、その中心にあるものはすぐに見ることができた。

お母さんふたりと、最初に報告を受けたのであろうリーダーまど。
その足元にいるほむほむは既にぴくりとも動かない。

それも当然だ。
喉と額に矢が深々と刺さっているのだから。

犯人の特長である黒い服は、なぜか脱がされていて、今りぼお母さんが手にしているのがそれのようだ。

しかし仔白まどが一番気になったのは、ほむほむの左手の怪我だった。

マドォ! マッドマドオォ! みんな! おいわいをするよ!

ホッムゥ! やったー!
マドーマッド! やっと あんしん できるね!

リーダーまどの号令で、あっという間にお祝いの準備が始まり、仔白まどはいつの間にか現れた仔りぼと一緒に、両親と並んで大騒ぎの中心に座らされてしまった。

隣に座ったりぼお母さんに、それとなく尋ねてみたら、ほむほむの左手の怪我は捕まえたときには既にあったものだという。
じっくりと観察する暇はなかったけど、確かにあれは矢でできる傷とは違っていた。

反撃されるか転ぶかして怪我したんだよ、とお母さんは深く考えていないようだけど、仔白は違和感を感じていた。

いくらまどまどが命の危機に抵抗したり、あるいは全力走って転んだからといっても、あんな傷を負うだろうか。
それにあの傷跡はどこかで見たことがあるような気がしてならない。

でも考えを進める前にお祝いは始まり、目の前には木の実やきのこが運ばれてくる。

そういえば今日はまだ、何も食べていなかった。
一番おいしそうな木苺を手に取って齧りつく。
おいしいのにあまり食欲は湧かなくて、一粒食べただけで充分だった。

その後は、たくさんの群れの仲間たちが次々と一家の前にやって来た。
そして口々にお礼の言葉を投げかけてくるので考えを進めるどころではなかった。

自分は結局何も出来なかったのに…。
お礼される度に、逆に責められているような気がして、仔白まどのまだ小さな稀少種の誇りを揺さぶるのだった。

思わず涙が浮かびそうになって俯いて耐えていたが、ふと視線を感じて顔を上げると、そこにはめがほむの姿があった。



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