過去ログ - 安価で女装ギャルゲー風SS part15 -SS速報VIP

過去ログ - 安価で女装ギャルゲー風SS part15

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923: ◆EEWQeQ.ZIg[saga]
2013/05/30(木) 22:31:33.20 ID:WCY4X2VUo
1、挨拶くらいはする

貴方は少し考え、挨拶くらいはしようと思った。
少し立ち話をするくらいならば、男装の迷惑にはなるまい。

貴方「男装さん」

男装「うん？　ああ、――さん。こんばんは」

男装は貴方に気付くと、取り繕うようにいつもの笑顔を浮かべる。
取り巻きたちには見せても、貴方には見せない……見えない壁を感じた気分だ。

貴方「はい、こんばんは。修学旅行は、どうでしたか？」

男装「とても楽しいものでしたよ。ええ、とても。彼女たちがいてくれたから、僕の三日間はとても充実したものになりました」

貴方の相手をしていても、取り巻きたちのフォローは忘れない。流石である。

男装「そう言えば、修学旅行の間、――さんの姿は見ませんでしたが……」

貴方「ああ、私、行かなかったんです……」

男装「えっ。どこか、具合でも悪かったのですか？　そう言えば今も、顔色が悪いように見える……！」

貴方の演技だとは露知らず、男装は本気で心配してくれているようだ。
貴方の演技がすごすぎる、なんて訳は無いので、男装が優しいだけだろう。

貴方「ああ、いえ、そう言うわけではないのです。ただ……」

男装「……いえ、敢えてここでは聞きませんよ」

男装は貴方の言葉を遮って、肩をすくめる。
そう言えば、貴方は以前に、男装に修学旅行がどうとかの相談をした事があった。
それで、何かを察したのだろうか。誤解が無ければ良いのだが。

男装「レディーの口を開かせるには、僕なりの手段がありますからね。こう言うのは、性に合わない」

貴方「その手段、とは？」

貴方は特に何も考えず、それを尋ねてみる。
すると男装は待っていましたと言わんばかりに口角を上げ、唇に人差し指を添える。

男装「それは僕の部屋で、ね？」

……要するに、ナンパらしい。

貴方「ふふ。でしたら、考えておきましょう」

男装「待ちますよ、僕は」

貴方は男装と別れて、一人で夕食を食べた。
男装は、修学旅行を満足ゆくまで楽しんだらしい。
誰であれ、知り合いが嬉しそうなのを見ると、嬉しく感じてしまう。

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